なぜ、インフルエンザで高熱が出るの?
ウェザーニュース / 2019年2月11日 17時30分
インフルエンザに感染すると38℃以上の高い熱が出ます。人によっては40℃を超えることも。なぜインフルエンザに感染すると高熱が出るのでしょうか?
脳の体温調節中枢が発熱シグナルを送る
インフルエンザや風邪のウイルスに感染すると人は熱を出しますが、その仕組みを横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長が解説してくれました。
「ごく簡単に言うと、人の体にウイルスが侵入すると、白血球などの免疫細胞が異物であるウイルスを取り囲んで戦いが始まります。すると体内でさまざまな物質がつくられ、そのうちの1つが脳内の体温調節中枢に働きかけます。そして体温中枢が発熱シグナルを全身の体温調節器官に送り、発熱を促進したり放熱を抑えたりするのです。
具体的には、皮膚の下や内臓の回りにある発熱機能を持つ細胞(褐色脂肪細胞)の発熱が促進され、全身の骨格筋を震わせて熱をつくります。悪寒を感じて体がガタガタ震えるのがそれです。一方で血管を収縮させて体表を流れる血流量を減少させたり、汗腺を閉じることで放熱を抑えます。こうして体温が上昇するのです。高熱は体内の免疫機構とウイルスが激しく戦っている証拠なのです」
熱は下げたほうがいいの?
風邪やインフルエンザで発熱する理由は、ウイルスと闘うには体温を上昇させたほうが有利だからと考えられています。
「インフルエンザウイルスは低温のほうが増殖しやすいことが知られていますが、体温を上げることで増殖が抑制されます。また、ウイルスと闘う白血球やマクロファージは体温が上昇すると働きが活発になり、免疫機能が高まるのです。
高熱でうわ言をいうなど意識障害を起こすようなら解熱剤で体温を下げる必要がありますが、意識がしっかりしているなら高熱でも解熱剤を使うべきではないと考えられています。
解熱剤を使わなくても、免疫活性食細胞がウイルスを封じ込めると熱は自然に下がっていきます。熱は健康状態を測るバロメーターの役割も果たしているのです」(吉田院長)
1月は史上最悪の大流行となったインフルエンザ。東京都では1月28日から2月3日までの1週間当たりの患者報告数は前週と比較して減少しましたが、依然としてほとんどの保健所管内で警報基準値を上回っています。引き続き、マスクや手洗いなどのインフルエンザ対策をしっかりと行うようにしましょう。
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