東日本大震災から8年 民間企業による災害支援の事例
ウェザーニュース / 2019年3月10日 9時40分
3月11日で東日本大震災から8年が経過します。もし被災したときに、個人でできる災害対策には限界があるものです。
今回は、民間企業がそれぞれの得意分野を活かした災害支援を行っている例をいくつかご紹介します。
イオン:災害時用バルブ・バルーンシェルターなど店舗の防災拠点化
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イオンのバルーンシェルター。地震などの際の被災者の避難スペースとして利用できる
イオンは、災害対策基本法に基づく「指定公共機関」です。指定公共機関とは、公共性の高い業務を行う組織や企業が選ばれ、災害時に「公共機関」としてふるまうことで災害支援を行う機関です。
この指定を受けることで、トラック等の車両を「緊急通行車両」として事前登録できるため、支援物資を輸送する車両が被災地へ急行し、いち早く被災者に届けられるようになります。
さらにイオンは、店舗の地震安全対策や防災拠点化に取り組んでいます。一時避難場所や救援・救護スペース、食品売場の提供、また発災直後から早期に店舗・施設の営業再開ができるよう、自家発電施設などエネルギー供給体制を確保することで、店舗付近の被災者の保護を図っています。
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災害時に受水槽内の水を飲料用に利用することができるよう、災害時用バルブを設置している
2020年までに全国100ヵ所を整備する予定で、現在は37ヵ所が整備済みです。この中には、停電状態でも飲料水を確保するための非常用バルブや、被災者の避難スペースとして活用できるバルーンシェルターの設置も含まれます。
セブン‐イレブンでは連絡手段を提供
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非常用電話機
セブン‐イレブンも指定公共機関に指定されています。例えば2016年の熊本地震の際も、停電や断水が続く中、セブン‐イレブンはほぼ全店が営業を続けたことで被災者支援に成功しました。
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無料Wi-Fiサービス「セブンスポット」
この経験を踏まえ、災害時にも店舗の営業を継続させるだけではなく、無料Wi-Fi「セブンスポット」を無料開放し、また無料で利用できる非常用電話機(災害用特設公衆電話)を東京23区の店舗(一部除く)に設置することで被災者の連絡手段を提供しています。
シーマ(緊急災害対応アライアンス):ヤフーなど17社が参加
SEMA(シーマ)は、民間企業とNPOの連携により企業が持つ物資・サービス等の支援行うために設立されました。加盟企業・団体のほとんどは指定公共機関ではありませんが、民間が主導して災害支援の協力体制を作り上げています。各加盟企業・団体は、それぞれの持つリソースを提供しながら、支援物資などを組み合わせて被災地に送り届けます。
例えば、飲料メーカーのキリンは水やお茶などの飲料、お弁当のデリバリーなどを事業とするスターフェスティバルはお弁当などの食料品、運輸業の西濃運輸は支援物資を避難所に配る前の一時的な物資集積用の拠点を提供します。
2018年10月の北海道胆振東部地震では、衣料品メーカーのグンゼは肌着や靴下など、おしぼりのレンタルなどを主業務とするFSXは身体を拭くためのタオルなどを配布しました。このようにして、SEMAでは過不足なく物資を送り、効率的な支援を目指しています。
災害対策は、各企業や各個人の自助が第1ですが、緊急事態においては近隣の企業や人々で協力しあうことも大切です。地震国日本では、このような共助の形が定着する方向にあります。
参考資料など
イオンHP「イオンの防災」、セブンイレブンHP「重点課題2 商品や店舗を通じた安全・安心の提供」、Yahoo! JapanHP「緊急災害対応アライアンスSEMA」
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