薬膳の先生に聞く 春先に摂りたい食べ物
ウェザーニュース / 2019年3月10日 5時50分
少しずつ暖かさを増していくこの季節、体も春に備えて変化しています。
体調を崩しやすい時季でもありますが、漢方に基づいたオススメの食材、過ごし方を、東京・代々木公園スタジオにて料理教室を主宰している薬膳の料理研究家、パン・ウェイさんに聞きました。
肝臓を労わる食べ物
体が気温の変化を感じると、冬に溜まった老廃物などを解毒し、栄養を体に必要な形にして全身に届けるために、肝臓に負担がかかります。
昔から肝臓の働きを高める食材は五味五色の中の「酸」と「緑」のものと考えられてきました。毎日、緑の野菜(山菜やお茶等を含む)で肝臓の解毒能力を高めること。また、肝機能を高めたり、保護をするために、多少「辛」いものや「甘」いものを食べるようにします。
おすすめの「辛」の食品は、ねぎやにんにく、にんにくの芽、にら、大根などです。ナツメ、慈姑(くわい)、竜眼(りゅうがん)、百合根(ゆりね)のような「甘味」を加えると、肝臓に元気な「気」を作ると考えられています。
さらに、良質なたんぱく質も肝臓ケアに欠かせません。動物性のものなら乳製品や肉、魚、卵など。植物性のものなら大豆や米、ナッツなどがオススメ。
また、五味の中の「酸味」も元気な肝臓を維持します。柑橘類や苺、梅などです。ただ、お酢など酸味が強過ぎるものは少し控えめにしましょう。
肝臓に負担かけないために
肝臓に負担をかけないよう過ごすことも大切です。そのためには以下の4つを心掛けましょう。
(1)アルコールや糖分、脂肪分の高いものは肝臓の疲労に繋がるので避ける。
(2)肝臓の解毒は夜中に行われると伝えられているので、春の3ヵ月は早寝を心掛ける。
(3)怒ったりイライラすると肝臓に負担が掛かるといわれますので、穏やかな気持ちで過ごす。
(4)漢方では目と肝臓はつながっていると考えられており、目が疲れると肝機能も低下します。長時間パソコンに向かうときは、たまに休憩して目の周りをマッサージなどして、目をいたわってあげれば、同時に肝臓ケアにもつながるというわけです。
細菌予防にオススメの食材は?
刺身のツマが細菌の体内侵入を防ぐのに効果的
最後に、この時季に気をつけたい身体の不調や病気について。気温が上がってくると、漢方でいうところの「温」「熱」「毒」「邪」(風邪という言葉は、ここから来ています)も活発になり、真冬よりも感染症にかかりやすくなってしまうのです。
これを防ぐためには、なんといっても、殺菌効果がとても高いにんにくがおすすめです。食べ過ぎると胃に負担がかかりますが、適量を毎日食べるのがいいでしょう。
様々な細菌の体内侵入を防ぐため、お刺身の好きな人は一緒に生姜やワサビ、大根、紫蘇、菊花などツマを多めに摂りましょう。
肝臓に負担がかかりやすいこの時季。食生活や日々の過ごし方を工夫して、肝臓を健やかに保つよう心掛けましょう。
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