平成史 災害⑨ 平成29年7月 九州北部豪雨
ウェザーニュース / 2019年3月10日 9時0分
平成29年7月5日、梅雨真っ只中の日本付近には梅雨前線が停滞していました。その梅雨前線に向かって西から暖かく湿った空気が流れ込み局地的に雨雲が発達、福岡県朝倉市や大分県日田市を中心に激しい雨を降らせました。
7月の平均雨量の約1.5倍を1日で観測
当日の雨雲の様子
最も被害が大きかった朝倉市に設置されたアメダスの観測値を振り返ると昼頃から雨が強まり始め、13時までの1時間に88.5mmの激しい雨を観測。
その後も46.5mm、67.5mmと雨の激しさは衰えず、16時までの1時間には106.0mmに達しました。5日の朝倉の降水量は516.0mm、1時間降水量は最大で129.5mmを観測。朝倉の7月の平年の降水量は354.1mmですので、1日でその1.5倍近い雨が降る、記録的な豪雨でした。
局地的な豪雨による河川の氾濫で大きな被害に
この大雨により福岡と大分で合わせて40人の方が亡くなり、そのうち34人は朝倉市で被害を受けました。複数の河川が溢れたことにより濁流が町を襲い、大きな被害につながっています。
非常に狭い範囲に集中して雨が降ったのが特徴的で、朝倉の隣に当たるアメダス太宰府は5日の日降水量が87.5mm、黒木は50.5mmにとどまっています。風の向きや地形の影響でバックビルディング型の線状降水帯が形成され、発達した積乱雲が次々に朝倉市周辺や日田市周辺に流れ込み、長時間に渡って激しい雨を降らせました。
わずかな風向きの違いで雨の強まるエリアが変わってきます。レーダー画像などを参照し、少しでも早く危険を察知していくことが重要です。
2019年4月30日で「平成」が終わります。ウェザーニュースでは、平成30年間に起こった気象や災害などを、過去の資料などをもとに連日振り返っていきます。
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