平成史 生活④ 大地震直後に全道ブラックアウト 平成30年
ウェザーニュース / 2019年3月16日 13時0分
2018(平成30)年9月6日未明の3時7分、北海道胆振(いぶり)地方東部を地震が襲い、死者42人、重軽傷者762人など大きな被害をもたらしました。多くの山崩れによって多数の死傷者が出たのが最大の特徴ですが、震源から遠く、揺れが小さかったエリアにも、また別の形で大きな影響を与えました。
地震発生から17分間でブラックアウト
北海道胆振東部地震は、北海道胆振地方を震源とするM6.7の地震で、国内では6例目となる最大震度7の激しい揺れを観測しました。そして、地震発生から17分後、北海道全域が停電(ブラックアウト)したのです。
その経緯は次の通りです。まず震源に近く道内最大の発電所である苫東厚真(とまとうあつま)火力発電所(2号機・4号機)が停止しました。機器の一部が壊れたことが原因でした。
電気は、供給量と消費量が一致していないと電気の品質(周波数)が乱れます。供給が需要を上回ると周波数が上がり、その逆の場合は周波数が下がるのです。苫東厚真火力発電所が停止したため、通常は50Hz(ヘルツ)という周波数が下がり、そのため風力発電所も安全装置の発動により停止しました。
管内全295万戸が停電
夜になっても停電が続くすすきの(札幌市中央区) 撮影:2018年9月6日18時37分(写真/時事)
続いて水力発電所が、その発電所とつながる複数の送電線すべて切れて送電できなくなりました。苫東厚真火力発電所(1号機)も周波数が低下したため停止しました。大まかに言うと、17分間で次のことが起こったのです。
【1】苫東厚真火力発電所(2・4号機)の停止(116万kw)
【2】風力発電所の停止(17万kw)
【3】水力発電所の停止(43万kw)
【4】苫東厚真火力発電所(1号機)の停止(30万kw)
【5】ブラックアウトの発生
こうして北海道電力管内全域の295万戸が停電したのです。
スーパーやコンビニでは屋外販売
東日本大震災でも起こらなかったブラックアウトは甚大な影響を及ぼしました。オフィス、店舗、家庭の照明はもちろん、道内すべての信号が停電し、警官が手信号で交通整理しました。ほとんどの公共交通機関はストップし、照明もレジも停止したスーパーやコンビニでは店外で食料品を販売すると長蛇の列ができました。
北海道電力は復旧を急ぎました。地震発生から2日後には99%の家庭で停電が解消しましたが、地震前日の電力最大需要(383kw)より約1割不足していたため、電力需要が増加する平日の8:30~20:30を節電タイムとし、約2割の節電を要請しました。
この節電目標は達成することができ、再停電の危機は回避されました。また、地震から13日後の9月19日には、苫東厚真火力発電所1号機という大規模火力発電所が復旧し、節電要請も終えました。結局、最後に残った厚真町の2戸の停電が解消したのは10月4日、地震から29日後のことでした。
電気は現代社会にとって欠かせないものです。ブラックアウトが他地域で起こる可能性もあります。こうした災害への備えや心構えなど、もう一度見直したいものです。
2019年4月30日で「平成」が終わります。ウェザーニュースでは、平成30年間に起こった気象や災害などを、過去の資料などをもとに連日振り返っていきます。
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