思わず誰かに話したくなる!お花見の歴史とルーツ
ウェザーニュース / 2019年3月17日 5時30分
3月も中旬となり、太陽の光や咲く花からは春の兆しを感じられるようになってきました。もう少しすると、春の象徴ともいえる桜が開花し始めます。
今回は、桜の開花に先駆けて、お花見の歴史やルーツに迫ります。
奈良時代は桜<梅だった!?
花見といえば、皆さんは何の花を見に行きますか?恐らくほとんどの人が「桜!」と答えるのではないでしょうか。しかし、花見といえば梅が当たり前!なんて時代もあったようですよ。
実は、奈良時代の花鑑賞といえば梅の花が一般的でした。
その証拠に、奈良時代に作成された万葉集を見ると、桜よりも梅を詠んだ歌のほうが多いんです。梅は約120首あるのに対し、桜は約40首。梅が随分人気だったことがわかります。
では、いつから花見には桜が一般的になったのでしょう?
日本独自の文化が発展
花見に桜が愛でられるようになったのは、平安時代。平安時代に作られた古今和歌集では、梅を詠んだ歌が約30首に対し、桜を詠んだ歌が約60首。奈良時代とは違い、桜と梅の人気が逆転しています。
この背景には、遣唐使の廃止が関わっています。遣唐使が派遣されていた時は、中国文化の影響を強く受けていました。梅の花もその一つです。しかし、遣唐使が廃止されたことにより、日本独自の文化が発展し始めます。そのため、日本に古くから自生していた桜に注目が集まったわけです。
宴会型の花見は秀吉発信
平安時代までは花見といえば貴族の中での文化でしたが、鎌倉時代になると武士たちの間にも広がります。
さらに、安土桃山時代になると、花見の内容にも変化が起こり始めます。
今までは、庭にある桜の樹の下で、優雅に歌を詠むというような花見でした。しかし、この頃から桜の下で酒宴が行われるようになります。宴会型の花見は、かの有名な豊臣秀吉から始まったと言われています。秀吉は、今でも桜の名所として有名な醍醐寺に、大勢の人を招いて大規模な花見を開催しました。
現代の花見の原型は、この時代に形成されていたようです。
農民と貴族文化の融合
貴族が梅を愛でることから始まった花見ですが、実は花見のルーツにはもう一つあります。
農民の間では、春になると、冬をもたらす山の神様を送り返し、春を呼ぶ田の神様を迎える「春行き」「春山入り」というものが行われていました。
具体的には、桜の下で持参した酒や食べ物を飲み食いして1日を過ごすというもの。その時、桜の色や開き具合いを見て、その年の豊作を占っていたとも言われています。農民の間ではこれが「花見」でした。
江戸時代になると、貴族発信の花見とこの農民発信の花見が、都市の庶民の間に広がりました。後に2つの花見は融合し、娯楽としての花見に形を変えて定着していったのです。
いかがでしたか?私たちが行っている花見というのは、長い歴史の中で、その時代やその文化に合うよう様々に形を変えて今に至ります。そう考えると、少し感慨深いものがありますね。
桜の下でどんちゃん騒ぎをするのも良いですが、花見の歴史的な背景やルーツに想いをはせながら、しっとりと桜を鑑賞するのも良いのではないでしょうか。
参考資料など
【参考・参照元】
「はな物語」のお役立ちコラム「昔は桜より梅が人気?花見の歴史の知られざる変遷を紹介」https://www.hanamonogatari.com/blog/1201/
日々是活き生き暮らし歳時記「花見の歴史」https://www.i-nekko.jp/gyoji/2014-032713.html
白幡 洋三郎(2009)「招待エッセイ 花と緑から生まれた日本の文化」,『PREC study report / PREC Study Report編集委員会 編』14,p.4-7
彩時記 日本の四季を楽しむ、共感する「知っているようで知らなかったお花見の歴史」https://sai-jiki.jp/column/ohanami/history
環境共生住宅と美しい日本の風景-まちなみ考「『桜』から学ぶこと」https://www.kkj.or.jp/contents/event/spring06/spring01.html
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