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この時季の肌トラブルは「花粉皮膚炎」かも!?

ウェザーニュース / 2019年3月23日 8時0分

ウェザーニュース

この時季に肌の赤いかぶれが気になるなら、「花粉皮膚炎」かもしれません。東京医科歯科大学の皮膚科学分野教授の横関博雄先生に教えていただきました。

花粉シーズンの紅斑が特徴

花粉が原因で露出している皮膚に紅斑があらわれるのが、花粉皮膚炎です。スギのほかブタクサやヨモギも原因となります。肌が赤くかぶれる症状は他にもありますが、横関先生によると「春先(2〜4月)、秋(11〜12月)に、顔・目の周囲・首などの露出している部位に発症し、他の季節にはおさまるのが特徴」だといいます。

花粉症だと発症しやすいのでしょうか?

「花粉症は、目や鼻の症状以外にぜんそくや下痢など、多様な症状があらわれるアレルギー疾患です。ただ、多くの花粉症患者さんの皮膚症状はかゆみ程度です。

一方、花粉皮膚炎は、花粉症とはメカニズムが少し異なることがわかってきています。例えば、花粉症の目のかゆみなどと違い、花粉皮膚炎は花粉に触れて紅斑が出るまでに時間がかかり、なかなか消えません。

また、アレルギー検査に使われるスクラッチテストでは、花粉症はポツッと盛り上がる膨疹(ぼうしん)が出て15分程度で消えますが、花粉皮膚炎の場合はスギ花粉抗原のスクラッチパッチテストでは48時間後に赤い発疹が出る遅発型に近い反応を示します」(横関先生)

若い女性に多い理由

皮膚の状態も関わります。花粉皮膚炎の患者さんで多いのは、20〜30歳代を中心とした女性です。また、アトピー性皮膚炎の患者さんの約30%が発症します。

「本来、表皮の一番外側にある角層が通すのは分子量500Da〜1000Da(ダルトン、分子の数)までなので、サイズが45000Da程度のスギ花粉ははじかれるはずです。しかし、アトピー性皮膚炎や、女性がよく使う化粧落としなどで皮膚のバリア機能が壊れていると、大きな分子でも侵入してしまうのです。花粉皮膚炎は、経皮感作(けいひかんさ)による接触性皮膚炎だと考えられています」(横関先生)

※経皮感作:肌を介して、特定の物質に免疫が働き敏感な状態になること

花粉皮膚炎が疑われるときは

気になる症状のあるときは、アレルギー科や皮膚科を受診しましょう。

「スクラッチテストなどで検査し、診断する必要があります。治療は、抗アレルギー薬(非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬)を使います。皮膚の炎症が強い場合は、ステロイド外用薬や、免疫を抑える作用のあるタクロリムス外用薬をまず使い、治ってきたらワセリンなどの保湿剤に切り替えます」(横関先生)

皮膚のバリア機能も大切

今春は花粉の飛散量が多くなると予測されています。

「予防の基本は、花粉に肌をさらさないことです。外出時はマスクやメガネ、長袖の服などで防ぎます。帰宅したら石鹸は使わなくてよいので手や顔を洗い、できればシャワーを浴びて花粉を落としましょう」(横関先生)

皮膚のバリア機能を守ることも重要です。乾燥のほか、手洗いの洗剤や化粧落とし、シャンプー、リンスなどが原因となります。

「洗剤を使い過ぎないようにして、保湿剤でスキンケアを行いましょう。近年、皮膚炎だけでなく花粉症や食物アレルギー、ぜんそくの発症にも経皮感作が関わっているとの指摘もあります。現在トラブルのない人も、皮膚のバリア機能を損なわないことが大切です」(横関先生)


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