心を動かす季節の色 「新緑」を眺めると心が安らぐ理由とは?
ウェザーニュース / 2019年5月27日 6時19分
欅(ケヤキ)、楓(カエデ)、公孫樹(イチョウ)、楠(クスノキ)、槐(エンジュ)など、日本にはさまざまな樹木がありますが、それぞれに異なる緑が美しいですよね。
緑を見ていると、リフレッシュしたり、穏やかな気持ちになりますが、これには色の効果が影響しているということをご存知でしょうか?
なぜ人は新緑を眺めると心が安らぐのか、脳の健康の専門家に教えていただきました。
色は心を動かす
「人は視覚から70〜90%の情報を得ているとされてます。視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感のうち、視覚の影響がとても大きいのです。視覚から得られる情報の1つが色です。色には、気持ちを高めたり、リラックスさせるなど、心理的効果があることがわかっています」と、脳の健康に詳しい杏林大学医学部名誉教授で日本ブレインヘルス協会理事長の古賀良彦先生は言います。
例えば、赤系の色に暖かさ、青系の色に寒さを感じることから、暖色系の色、寒色系の色と呼んでいます。また、同じ重さの箱でも、明度の高い色だと軽く、暗い色だと重く感じます。では、新緑にはどのような効果があるのでしょうか。
「人が視覚により認識できる光は、波長が780nm(ナノメーター)の赤から380nmの紫までです。緑は550nm前後と、スペクトルの中間に当たります。緑は、興奮でも鎮静でもない、調和のとれた色なのです」(古賀先生)
もう1つ新緑の特徴として、やわらかな色あいが挙げられます。
「色彩心理学では、赤、緑、青(光の三原色)や白、黒といった、はっきりした色は人に緊張感を与えるとされています。例えば、病院ではかつて白衣をはじめ、壁の色やカーテンなどに清潔感を与える白を使っていましたが、現在ではパステルカラーを採用することが多くなっています。
また、私は脳と睡眠の研究から、寝室のカーテンなどには神経を高ぶらせないやわらかな色あいのものを選ぶようアドバイスしています。新緑も、やわらかな色あいが多いので、リラックス効果がより高くなることが考えられます」(古賀先生)
新緑を楽しもう
遠足やアウトドアなど、緑の多い場所でよい思い出がある人は多いのではないでしょうか。
「新緑の季節に緑の多い場所へ出かけて、森林浴のような楽しみ方をするのは、脳の疲れを取る意味でもよい効果が望めます。また、生活のなかで、新緑を見てちょっと安らぐ時間を持つこともお勧めです。
脳は、人の行動や臓器の働きを制御する司令塔とも言える臓器ですが、その働きはとても精巧です。脳の働きを乱す要因にストレスがありますが、ストレスは溜めてしまうのが一番よくありません。ストレス源をなくすことは難しいので、毎日の生活のなかで上手に逃がす方法を見つけ、取り入れるのがよいのです」(古賀先生)
緑を眺めることに、そんな効果もあったのですね。これから外で過ごす楽しみが増えそうです。
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