「夏越の祓」(なごしのはらえ)で、この半年をリセット!
ウェザーニュース / 2019年6月29日 5時0分
梅雨の季節を迎え、湿気を感じることも多くなり、気が付けばもうすぐ7月。今年も半分が過ぎようとしています。
1年の終わりの大晦日には、その年の厄災を払い清める「年越しの祓」がありますが、1年の半分が終わる6月にも、「夏越の祓」という神事があるのをご存じですか?
「茅の輪くぐり」と「形代流し」
夏越の祓とは、もともとは旧暦の6月30日(いまの7月下旬頃)に行われていた神事です。
奈良時代に宮中行事の1つと定められたものの、応仁の乱(1467~77)頃から、中断。明治になって正式に復活し、現在は、日本各地の神社において新暦6月30日に、その年の半年分の穢(けが)れや厄災(やくさい)を払い、身を清める儀式として執り行われています。
この神事で行われる主なものに、「茅の輪(ちのわ)くぐり」と「形代(かたしろ)流し」があります。
茅の輪くぐりとは、神社に設置された茅(ちがや・イネ科の草)で編んだ大きな輪をくぐり、心身を清めるというもの。形代流しとは、紙でつくった「人形(ひとがた)」などに、心身の穢れや厄災を移し替えて、それを川や海に流すというものです。
疫病除けのご利益がある「茅の輪」
茅の輪くぐりは、スサノオノミコト(須佐之男命)の故事に由来します(『備後国風土記』)。
昔、蘇民将来(そみんしょうらい)と巨旦将来(こたんしょうらい)という兄弟のもとに、武塔神(むとうのかみ)と名乗る神(=スサノオノミコト)が一夜の宿を請うたのですが、弟で金持ちの巨旦将来はそれを断り、兄で貧しい蘇民将来は快く受け入れ、自分ができる精一杯のもてなしをしました。
武塔神はそのお礼にと蘇民将来に告げたのが、茅の輪を腰につけていれば、疫病から逃れられるという教え。そのおかげで、数年後、兄弟の暮らす村で疫病が流行った際、それを実践した蘇民将来の家族だけが助かり、その子孫たちは末永く繁栄することができたといいます。
この故事から、厄除けのために茅の輪を腰に身につけるという信仰が広まり、時代とともに茅の輪が大きくなり、現在のようにその輪の中をくぐるという形になったようです。
ちなみに、茅の輪くぐりには「作法」があります。神社によって多少は異なるようですが、左回り→右回り→左回りと「∞の字」を描くように3度くぐる、というのが一般的です。
一方の形代流しの作法ですが、まず人形に自分の名前や年齢などを記入します。それで全身をなで、三度、息を吹きかけます。
そのようにして、心身の穢れや罪を形代に移し替えた上で、自分の身代わりとして神社に奉納。お祓い等を経て、川や海に流されます。
6月は1年の折り返し地点。この半年間、過去を振り返る時間もなく、前に前にと進んできた人も多いことでしょう。気がつけば新年の抱負や決意も、遠い過去の記憶に……。
そんな人に、「夏越の祓」は心機一転のチャンス。大晦日に1年を振り返り、新年の抱負を立てるように、今年は「夏越の祓」の時期に、とりあえず「今年」を一度リセットし、新たな気持ちで次の半年を迎えてみませんか?
参考資料など
『暮らしの習わし一二か月』(文・白井明大/絵・有賀一広、飛鳥新社)
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