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基準は中国だった 「西瓜(すいか)」の語源とは

ウェザーニュース / 2019年7月24日 12時0分

ウェザーニュース

まもなく各地で梅雨明けも間近。夏と言ったら、キンキンに冷えたスイカを食べたくなる人も多いでしょう。両手で持って、ガブリと食らいつくもよし、スプーンを使って、上品に食べるもまたよし、です。

ところでこのスイカ、漢字ではどう書くか、知っていますか?

西方から中国に伝わった瓜だから「西瓜」

「わかるよ。『西瓜』でしょ」。こんな声が聞こえてきそうです。

そのとおり、スイカは漢字で「西瓜」と書きますね。ほかには「水瓜」を当てることもあります。

では、スイカはなぜ「西瓜」と書くのでしょうか?

「それも、わかった。西の瓜、つまり日本の西側にある中国から日本に伝わった瓜だから『西瓜』と書くんだよ」

むむ? これはちょっと違いますね。スイカは確かにウリ科に属しますが、中国から日本に伝わったから「西瓜」と書くのではありません。中国よりも西方の地域から中国に伝わった瓜だから「西瓜」と書くのです。

スイカはもともとアフリカ原産。そのスイカが中国の西に位置するウイグルから中国に伝わったのは、10世紀ごろといわれます。

さらに、そのスイカが日本に伝わったのは、室町時代以降とする説などがあります。

カボチャはなぜ「南瓜」と書くのか?

西瓜がスイカなら、さて、「南瓜」はなんと読むでしょうか?

……答えは「カボチャ」ですね。

カボチャもウリ科に属します。カボチャが日本に伝わったのは16世紀で、ポルトガル人がカンボジアから持ち込んだといわれます。そのカンボジアがなまって、カボチャといわれるようになったのです。当初は「カボチャ瓜」と呼ばれたのが、いつしか「瓜」が省略されるようになったともいいます。

ではなぜ「南の瓜」と書くかといえば、カンボジアなど、中国から見て南側の地域で生産されていたから。基準はあくまで中国なのですね。

かつては「北瓜」もあった

西瓜と南瓜があるなら、「東瓜」と「北瓜」があってもよさそうですが、これらの漢字はありません。

一時期、「西瓜の別種」の意味で「北瓜」という言葉が使われたこともあったようですが、廃れて、使われなくなりました。

「東瓜」の字がないということは、朝鮮半島や日本には、めぼしい瓜がなかったからかもしれません。

さて、スイカを漢字で西瓜と書く理由がわかったところで、さっそくスイカにかぶりつくことにしますか!

参考資料など

『漢字で鍛える日本語力3 西瓜ってなんて読む?』(監修 金田一秀穂・青木伸生、学習研究社)、『動植物の漢字がわかる本』(加納喜光、山海堂)、『なんて読む? カンタン漢字や知ってる言葉 フシギ読み漢字』(監修 加納喜光、集英社)

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