台風に備える「自助」「共助」「公助」とは
ウェザーニュース / 2019年9月15日 6時10分
先週は台風15号が関東地方を襲い、千葉県を中心に長時間の停電や断水という被害をもたらしました。
今回の台風のような大規模な自然災害は、自分の身は自分で守る「自助」と、近隣の人が互いに助け合う「共助」、それに公的機関が手を差し伸べる「公助」が連携する必要があります。
東日本大震災などの大規模災害が発生した場合には、行政が全ての被災者を迅速に支援することが難しいこと、行政自身が被災して機能が麻痺する可能性があることなどから、公助主導の減災・防災には限界があることがわかりました。
そのため、「自分の命は自分で守る」という自助意識や、地域コミュニティで助け合う共助意識が重要になってきます。災害による被害を少なくするためには、具体的にどのような連携が必要なのでしょうか。
【自助1】台風の進路や速度を確認する
台風は事前に進路や速度が予想できるので、どんな台風なのか自分で台風情報を確認します。
台風は接近すると上陸する地点も絞られてくるので、該当する地域周辺ならさらに各種情報をチェックします。
【自助2】自宅の危険度・安全度をチェック
自分の家がどのような立地にあるのか、周辺の状況を確かめ、河川の氾濫や高潮、がけ崩れなどが起こるのか、被害はどのくらいになるのかを予測しておくと、避難のタイミングなどがわかります。
【自助3】避難所や持ち出し品の確認
避難するときに持ち出す食料品、飲料水、衣類、タオル、ロープ、現金などのリストを事前につくって、持ち出し品を準備します。
行政が用意する避難所だけでなく、親戚や友人の家、あるいはホテルや旅館なども避難所として利用することができます。
【自助4】停電・断水に備える
避難勧告や避難指示が出ても、自宅が安全なら避難せず、自宅にとどまります。
その場合も停電や断水が予想されるので、懐中電灯、携帯ラジオ、スマホのバッテリー、生活用水として浴槽に水を張るなどの準備をします。浸水などの恐れがあれば、衣類、寝具、食料などは2階など高いところに移動しておきます。
【共助1】要援護者の避難を助ける
日頃から、近所にお年寄りや体が不自由で自力避難できない人がいるかどうか確認しておきます。
行政は要援護者のリストを持ち、避難勧告が出たら避難を助けることになっていますが、行政の手が回らないこともあるので、被災者自身が要援護者の避難を手助けします。
【共助2】自宅が安全なら近隣の人に提供
自宅が安全でスペースに余裕があれば近所の人に提供します。鉄筋コンクリートなら高潮に対して安全で、上層階なら浸水の心配もないでしょう。
逆に自宅が危ないようなら、いざというときは避難先になってもらうよう近所のマンションなどに住む友人知人と取り決めをしておきます。
【共助3】余裕があれば避難生活者を支援
台風が去っても水が引かなかったり、家の修復に時間がかかるなどして避難生活が長引くことがあります。
被害が少なく余裕がある人は、避難所暮らしの人を一時預かって温かい料理や風呂などを提供したり、被災者の家の片付けを手伝ったりします。
【公助1】避難所を開設し安全を確保
災害時、真っ先に発動する公助といえば避難所の開設です。住民の身の安全を確保し、水と食料、体を休める場所などを提供します。避難所は地域の防災拠点でもあるので、自宅避難の人に対しても、水と食料、生活物資を提供したり、インフラの復旧情報などを知らせします。
【公助2】被災者の生活再建を支援
災害で住宅が全壊するなど生活基盤が著しい被害を受けた場合、「被災者生活再建支援法」に基づいて支援金が支給されるなど、資金面での公助が実施されます。
阪神・淡路大震災(1995年)を契機に設けられた制度で、国だけでなく自治体の資金も被災者の住宅再建などに公助が行われるようになりました。
【公助3】堤防などハード面を整備する
公助の最たるのがハード面の整備です。河川の堤防や海岸の防潮堤などは災害被害を減少させてきました。
時間が経過すれば老朽化するのでメインテナンスも必要です。限られた予算の中で被害を最小限にすることが大切です。
大規模災害が発生したら、「自助」「共助」「公助」の連携が必要になりますが、行政による公助に頼るだけでは立ち向かえません。私たちの自助、共助の意識を忘れずに、ふだんからの「備え」を欠かさないようにしましょう。
参考資料など
『平成30年版 防災白書』(内閣府)
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