【御嶽山噴火から5年】 日本の火山・最新事情

ウェザーニュース / 2019年9月27日 6時10分

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いまから5年前の2014年9月27日11時52分、御嶽山(おんたけさん、長野県・岐阜県)が突然噴火しました。秋の行楽時期の土曜日、登山客が頂上に集中する昼どきだったため火口付近に居合わせた58名が死亡し、いまだに5名が行方不明です。戦後最悪の火山災害はなぜ防げなかったのでしょうか。

噴火警戒レベルは1だった

当時、御嶽山の噴火警戒レベルは1(平常〈当時の呼称〉)でした。しかし、噴火の3週間前から火山性地震が増加していました。噴火の約11分前には火山性微動が観測され、噴火の7分前には傾斜計で山体が盛り上がる現象も観測されました。

そして山頂の南西地下にあった熱水溜まりが急膨張して水蒸気爆発を起こし、噴煙は火口から7000mの高さに達しました。噴石や火山灰などが、この日だけで60〜110万トン噴出し、噴石は登山客らを直撃し、その上を大量の火山灰が襲いました。

本当に噴火は予知できなかったのか?

水蒸気噴火に先行した地震群の発生パターン(横軸は月日、縦軸は1日あたりの地震回数を対数で表示)

御嶽山は2014年の7年前の2007年にも噴火が確認されています。

北海道大学名誉教授の岡田弘さんは、2014年の噴火はその3週間前から火山性地震が急増したことを指摘しています。

「2007年の噴火のときも3ヵ月前から火山性地震が急増していました。そうしたデータなどから、2014年の御嶽山噴火は決して突然の噴火ではなく、注意深く見守っていれば予兆はあったし、噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き上げるべきだったと指摘する火山研究者は少なくありませんでした」

岡田さんは、2000年3月の有珠山(うすざん、北海道)が噴火した当時、北海道大学附属地震火山研究観測センター教授として有珠山の噴火を6日前に予知しました。そして地元住民1万人余りを噴火前の避難に導いて1人の犠牲者も出すことなく、「有珠山の主治医」と呼ばれました。

「火山灰噴出がありうる」と気象庁

御嶽山噴火に先立つ火山性地震が発生した際、気象庁は『火山の状況に関する解説情報』を3回公表しています。その本文には『火口近傍に影響する程度の火山灰噴出などがありうる』と明記されています。しかし、『噴火警戒レベル1(平常)』は維持するとしたのです。

噴火直後、警戒レベル3に

御嶽山の噴火直後、気象庁は噴火警戒レベル3(入山規制)に引き上げました。火山活動が低下した翌2015年7月には警戒レベル2(火山周辺規制)に引き下げ、火山活動が落ち着いた2017年8月には噴火警戒レベル1(活火山であることに留意)に引き下げましたが、地元の3市町村は火口から約1km以内の入山を規制しました。

山頂登山が解禁されたのは、噴火から5年後の2019年7月1日の山開きでした。この日、営業を再開した山小屋「ニノ池山荘」は噴石対策として屋根や壁を防弾チョッキに使われるアラミド繊維を2重にして建て替えられました。

噴火警戒レベル2以上の火山は?

現在、日本には噴火警戒レベル2以上の火山は7あります。

【噴火警戒レベル2(火口周辺規制)】
・浅間山(群馬県/長野県)   
・草津白根山(群馬県)
・箱根山(神奈川県)
・阿蘇山(熊本県)
・口永良部島(鹿児島県)
・諏訪之瀬島(鹿児島県)

【噴火警戒レベル3(入山規制)】
・桜島(鹿児島県)

※9月27日現在

この7の火山を含めて日本には111の火山があり、うち50の火山は常時観測対象に指定され、気象庁などの機関により常時観測態勢が整備されています。

【その他の主な監視・観測体制がとられている火山】
・大雪山(北海道)
・鳥海山(秋田県/山形県)
・蔵王山(山形県/宮城県)
・那須岳(栃木県/福島県)
・乗鞍岳(岐阜県/長野県)
・富士山(静岡県/山梨県)
・雲仙岳(長崎県)
など

なお、御嶽山の噴火の翌年から噴火警戒レベル1の呼称は「平常」から「活火山であることに留意」に変更されました。2019年8月7日の浅間山の噴火のように、噴火警戒レベル1で明確な予兆がみられなくても、活火山は噴火する可能性があります。

これからの季節は空気も澄んで登山には格好の気候となります。活火山に登る場合は、噴火警戒レベルを事前に確認することはもちろん、火山性地震の活動が活発な場合は、例え噴火警戒レベルが1でも近づかないことが命を守ることに繋がります。十分な装備や避難場所の確認なども常に心がけて、安全に火山を楽しみましょう。

参考資料など

「モニタリングと警戒避難の隙間−−噴火災害での減災総合力のありかた問う」(岡田弘、『災害情報学会誌』2015年3月)

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