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8月は台風・ゲリラ豪雨など天気に注意が必要 ウェザーニュース予報精度は?

ウェザーニュース / 2019年9月20日 20時30分

ウェザーニュース

今年も連日のように猛暑日が続き、暑くなった8月。一方でゲリラ豪雨や台風の接近など、激しい雨や風に見舞われるときもありました。

2019年8月までの精度実績を、ウェザーニュース予報精度改善チームの気象予報士 宇野沢が解説します。

1月~8月の予報精度は“90%”

ウェザーニュースでは、精度の高い天気予報を提供するため、日々予報精度の改善に取り組み続けています。

2019年8月のウェザーニュースの予報精度は89.0%となりました。2019年1月~8月を合わせた数字では90%となっています。  月ごとの詳しい結果

※ここで扱う予報精度は、気象庁の評価方法に準拠した「降水捕捉率」を指しており、朝5時に発表された当日の天気マークを対象としています。
対象地点はアメダス1300箇所で、1日の積算降水量が1mm以上となった場合を「降水あり」としています。

また、気象庁も同様に、発表した予報に対して評価を行っており、ホームページ上で一般に公開しています。

台風接近時の予報も高精度

今年の8月中には台風が5つ発生。その中でも、台風10号がお盆休み後半に日本列島を直撃しました。愛媛県佐田岬半島を通過し、広島県呉市付近に上陸したあと、中国地方を通過して日本海へ抜けていきました。

この台風10号が日本列島に上陸・通過していった8月15日(木)のウェザーニュースの予報精度は96.5%となっており、被害をもたらすような台風通過といった場合においても、高い精度で予報を発表しています。

<台風進路>世界各国の気象予測モデルの精度は?

世界各国の気象予測モデルの計算結果による台風進路(8月7日21時発表:ウェザーニュース社内資料より)

ウェザーニュースでは、台風の進路についても高い精度で予測をすべく、世界各国の気象予測モデルを比較・検討しながら情報を発信しています。

例えば、先ほどの台風10号に関しては、上図のような世界各国の気象予測モデルのシミュレーション結果の資料をもとに、どのような進路を台風がとり、どの地域にどのような影響が出るおそれがあるのかを会員向けに情報を出していました。

もちろん、どの気象予測モデルについても数時間ごとに新しい計算結果に更新されていくのですが、今回は上記資料にもある台風10号が発生してから1日経った、8月7日21時発表の各気象予測モデルの計算結果がどのようなものだったのかを見ていきます。

日本の東へ逸れる予想の米国と日本の気象庁


一番東側を進む予測モデルは、NOAA(アメリカ海洋大気庁)の全球モデルの数値予報(GFS)、2番目に東側を進む予測をしているのは、日本の気象庁の全球モデルの数値予報(GSM)になります。

ともに太平洋高気圧の西への張り出しが弱いために本州には近づかず、日本の東の海上を北上するという予測を立てていました。

西日本方面へ向かう予想のヨーロッパとイギリス気象庁


一方で、一番西側を北上する予測モデルは、ヨーロッパ中期予報センターの数値予報モデル(ECMWF)、2番目に西側を北上する予測モデルはイギリス気象庁の数値予報モデル(UKMET)となっています。

先ほどとは逆で、ともに太平洋高気圧の西側への張り出しが強いため、台風が西側へ向かうコースを予想しており、実際の台風10号が通ったコースに近い予測となりました。

早く正確な台風情報で“減災”へ

ウェザーニュースでは、このように複数の予測モデルから太平洋高気圧の勢力を解析し、独自の台風の進路予測を組み立てることで、本州へ影響が出る可能性を早い段階から示唆することができました。

今後も台風の進路予測の精度については、いち早く最も正確な予測を伝えられるように、データの蓄積や分析、AIなど様々な技術や手法を用いて、予測改善を進めていきます。それによって、災害をできるだけ少なくする“減災”に繋げていければと考えています。

8月を振り返ってみて

今月は台風というインパクトのある気象現象の予報精度がどうであったかが注目点となりました。

今回取り上げた台風10号の進路は、各予報機関のシミュレーションが大きく2つに分かれ、進路を決定するには気象衛星による観測データや海水温の分布などを注意深く監視し、いかに振れ幅を小さくしていくかがポイントとなりました。

予報センターでは日本付近の北西太平洋で発生する台風に限らず、北東太平洋、大西洋のハリケーン、インド洋、南太平洋のサイクロンの予測も行っています。
広い範囲で数多くの予測をすることで蓄積された知見と、それをシステムに組み込むことによって、各機関のシミュレーションを正確に解釈して予測を組み立てることに注力していますが、今回はその成果が発揮された事例であったと言えます。

台風の進路を正確に予報することで、どこで大雨や暴風になるかがわかり、結果として被害を軽減するための情報を発信することができるようになります。これからも予報手法が変化することを恐れず新たな技術を取り入れ、より精度の高い予測を行っていきたいと思います。


【宇野沢 達也】
ウェザーニュース予報センター 気象予報士。千葉県旭市出身 自治体防災担当職員から転職し入社26年目。予報精度改善チームで予報業務および精度検証・改善を行っている。

参考資料など

降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html

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