大雨災害後に注意すべき感染症

ウェザーニュース / 2019年10月15日 6時25分

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台風19号による記録的大雨の影響で、東北から関東甲信にかけての広い範囲で河川氾濫が相次ぎ、大規模な浸水などが各地で多発しました。住宅地にも大量の水が流れ込んでいるため、付近の住宅や農地が水に浸かる被害が出ています。

過去の例から、災害発生から1週間程度で感染症が増え始めるとされ、水害や土砂災害に多い細菌感染や避難所での衛生管理に気をつける必要があります。

衛生環境の悪化、被災者の免疫力低下

被災地で感染症が増加するのは、断水や下水の流出、害虫の増加など衛生環境の悪化に加えて、被災者がケガをしたり、体力が低下して感染症にかかりやすくなるためです。

東日本大震災(2011年3月)では、レジオネラ症や破傷風など日頃はなじみのない感染症がみられ、蝿や蚊が大発生したことが知られています。

洪水・土砂災害後に発生しやすい感染症

2017年7月に発生した九州北部豪雨の際に、国立感染症研究所は注意すべき感染症として次の5つをあげています。

【レジオネラ症】
レジオネラ菌を含んだ霧状の小さな水滴(ミスト)を吸い込むことで発症します。肺炎を起こす場合と、一過性の発熱で回復する場合があります。レジオネラ症は温度と湿度が高い7月に多く報告されますが、人から人に感染しないので、避難所で流行することはありません。

【レプトスピラ症】
ネズミなどの尿中に排出された病原性レプトスピラに汚染された水や土壌との接触で感染します。洪水の後に発生することがあり、発熱・頭痛・全身倦怠感・筋肉痛などの症状があり、軽症の場合はやがて回復しますが、重症化すると全身出血を伴って亡くなることがあります。感染予防のため、水や土と接触する作業には手袋や長靴を着用しましょう。

【破傷風】
土の中に広く常在する破傷風菌がつくる神経毒素により強直性ケイレン(開口障害・嚥下困難など)から始まり、全身に移行し、重症化すると呼吸筋がマヒして窒息死することがあります。ワクチンで治療可能で、東日本大震災では10例の報告がありました。

【急性呼吸器感染症】
避難所など過密状態では、鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、気管支炎、肺炎などのリスクが高まります。軽症の場合は点滴や(細菌性であれば)抗菌薬で治療可能ですが、重症化するリスクが高い場合(高齢者等)は入院が必要になります。

【急性胃腸炎・急性下痢】
食品の保冷や衛生状態の管理が十分にできないと食中毒の原因となる細菌性の急性胃腸炎のリスクが高まります。主な症状は腹痛・下痢・嘔吐で、血便や発熱を伴うことがあります。被災地や避難所では、できるだけ食事の準備や食前、排便の後、おむつ交換後や排泄処理後には十分な手洗いを行いましょう。


被災地では、昼夜の寒暖差が大きく、体調を崩しやすくなる時期となっていきます。感染症対策に加えて、体調管理にもお気をつけください。

参考資料など

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

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