七十ニ候「蟋蟀在戸」 昔はコオロギをキリギリスと呼んでいた!?
ウェザーニュース / 2019年10月19日 5時0分
19日からは七十二候「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」。キリギリスが戸口で鳴く時期とされています。
しかし、実際は夏の虫のため、秋になるといなくなってしまいます。一体どういうことなのでしょうか。
本当にキリギリス…?
キリギリスってこんな時期から鳴き始めるんだっけ?と思った方も多いのではないでしょうか。
もちろん種類によって異なりますが、多くは夏頃から鳴き始め、秋には卵を産んで死んでしまいます。
となると、今回の暦に登場するキリギリスとは一体何者…?
キリギリス=コオロギ?
辞書でキリギリスを調べると、今のコオロギの古名だったという記載が。
いやいやまさか!?と思いつつさらに調べを進めると、興味深い和歌を見つけました。
上の2つの和歌を見てみると、いずれも秋の夜という単語とともにキリギリスが鳴く様子が詠まれています。
しかし、昼間に鳴くことが多いキリギリスではちょっと違和感があるような…。この歌では、夜に鳴くコオロギと考えたほうが、確かにしっくりきます。
では今で言うキリギリスは、昔なんと呼ばれていたのでしょう?
調べてみると、キリギリスの「ギース・チョン」という鳴き声が機織りの音に似ているところから、「機織り虫」「機織り女(め)」と呼ばれていたそうです。
童謡の歌詞も変更
あれ、松虫が鳴いている〜♪という出だしで始まる「虫のこえ」。非常に有名な童謡ですよね。
実はこの歌の2番の歌詞がキリギリスからコオロギに変更されていたってご存じですか?
先程の機織りの話からもわかる通り、キリギリスは「きりきり」とは鳴きません。さらに、キリギリスは夏の虫のため、秋の虫としてはコオロギのほうが適切ということで、途中から変更されました。
昭和10年にはすでにコオロギとなっていたようなので、幻のキリギリスを知っている方は少ないかもしれませんね。
参考資料など
塩尻キリギリスの会「キリギリスの生態」
同志社女子大学「「きりぎりす」と「こおろぎ」」
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