もみじに意外な効果 血糖値上昇や脂肪吸収を抑制する成分も
ウェザーニュース / 2019年11月13日 5時55分
秋たけなわ、各地で紅葉が見ごろとなっています。色鮮やかなもみじは目を楽しませてくれますが、もみじの葉にはポリフェノール、β-カロテン、ルテインなどが含まれ、機能性食品としても注目されているのです。
もみじ成分の有効性を世界で初めて明らかに
もみじかえで研究所(岐阜県多治見市)の本間篤史さんは、東京水産大学(現・東京海洋大学)在籍時に糖尿病の研究チームに所属し、さまざまな天然素材で糖尿病への効果を検証する中、研究所の入口にあるヤマモミジを偶然手に取り、成分分析を始めました。
研究の結果「もみじの葉はポリフェノールを多く含んでおり、ポリフェノールの働きが糖類の分解・吸収を抑制し血糖値の上昇を防ぐ効果があることが分かりました」(本間さん)
マウスを用いた実験の結果、本間さんはもみじの効用を世界で初めて論文にしました。
【もみじ抽出物の機能性】
▼血糖値上昇を抑制
▼糖+油脂摂取後の脂肪吸収を抑制
▼健康リスクの改善作用
![](https://smtgvs.weathernews.jp/s/topics/img/201911/201911080115_box_img1_A.jpg?1573200886)
つまり、もみじの抽出物を摂取していると、血糖値レベル、血中インスリンレベルの上昇が抑えられ、また体重増加や中性脂肪の上昇、総コレストロールの上昇も抑えられるのです。
もみじ特有のアントシアニンは目の機能改善にも有効
秋に葉が赤くなる“紅葉”は、葉の中で葉緑体を構成するクロロフィルが分解して赤いアントシアニンが生成することで起こります。アントシアニンはポリフェノールの一種です。
もみじに含まれるアントシアニンは、カシスに似た有効成分を持ち合わせ、抹消血流を活発にさせる働きにより、網膜の保護機能を高めるほか、血行改善、筋肉の緊張緩和作用などがあり、焦点が合いにくくなるピントフリーズ現象を改善する効果があります。また、ロドプシンというタンパク質の再合成を促して、目の機能改善も期待できます。
もみじ茶やもみじエキスが登場
![](https://smtgvs.weathernews.jp/s/topics/img/201911/201911080115_box_img3_A.jpg?1573191299)
もみじの葉をお茶にした「もみじ茶」
このように、もみじには健康に寄与する有効な成分が秘められていることが明らかにされましたが、それをどうやって摂取したらよいのかが課題でした。そこで、もみじの成分を応用した機能性食品の研究が進み、お茶やエキスなどの商品が市場に登場しています。
手摘みしたもみじの葉を緑茶と同じ深蒸し製法によってお茶にしたのが「もみじ茶」です。お茶では珍しくβ-カロテンやルテインが豊富で、ケールやクレソンなどの緑黄野菜に近い含有量です。焙煎した香ばしさが漂うほうじ茶のような味わい。レモンやゆず果汁を加えると綺麗なロゼ色に変化し、すっきりした味わいになります。酸味のあるローズヒップティーに似た味わいのティータイプもあります。
もみじの葉の形そのままを食用にした「ドライもみじ葉」は、もみじ茶に浮かべれば、見た目も美しく、五感で秋を堪能できます。
「もみじエキス」は、もみじ葉の赤色を濃縮して凍結乾燥し、粉末化した商品。ラズベリーや抹茶を思わせる味で、ソースなどに用いられてお皿の料理を演出し、レストランのシェフやパティシエに注目されています。そのほかサイダーやシャーベットなどにも応用されています。
その他にも、もみじの名所として知られている京都の高尾や大阪の箕面(みのお)では、もみじの天ぷらが有名です。
まさに、もみじは眺めてもよし、食してもよし。カラダに良くて、鮮やかな紅色と新感覚の味わいが楽しめることから、もみじ食品はさらなる発展が期待できそうです。
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