大正噴火から106年 桜島が「島」でなくなった大噴火
ウェザーニュース / 2020年1月12日 10時0分
今から106年前の今日、1914(大正3)年1月12日に、鹿児島県の桜島で大噴火が始まりました。大正噴火、または大正大噴火と呼ばれる、国内では20世紀最大の噴火です。
大正噴火では、噴火や地震により58名の犠牲者を出し、流出した溶岩は大隅半島との間の400mの海峡を埋めて陸続きになりました。鹿児島県は1月12日を「桜島の日」として避難訓練などを行っています。
2.6万年前に誕生した若い火山
桜島は約2万6000年前に鹿児島湾内の海底火山として活動を始め、約1万3000年前には現在のような火山島として姿を現した比較的新しい火山です。
有史以降活発な噴火活動を繰り返していますが、過去1000年間では大噴火が3回記録されています。1471(文明3)年の「文明大噴火」、1779(安永8)年の「安永大噴火」、そして1914年の「大正大噴火」です。
大正大噴火は九州から東北地方に及ぶ広い範囲で火山灰が観測され、溶岩を含めた噴出物は2km3(32億トン、東京ドーム1600個分)に達し、桜島の地盤が最大で1.5m沈下しました。地盤が沈下したのは、溜まっていたマグマが溶岩になって流出したからです。
1960年に桜島火山観測所を設置
大正大噴火が終息してから20年ほどは穏やかでしたが、その後は断続的に噴火を繰り返しました。桜島の噴火が長期化していることから、京都大学は1960年に桜島火山観測所を設けて、教授をはじめ火山研究者が常駐して観測を始めました。
桜島は2016年2月から「噴火警戒レベル3(入山規制)」の発表が続いています。
最近の桜島の噴火活動について、桜島火山観測所所長の井口正人・京大教授によると、「1955年から継続的に観測していますが、今は南岳(みなみだけ)の山頂火口から噴煙が上がり、噴石も飛んでいる活発な状態で衰える気配はありません」という。
今後、大噴火の可能性は
大正大噴火で地盤が1.5m下がったといいましたが、2010年にはその9割が回復しました。桜島の地下10kmにあるマグマだまりからマグマが供給されているからです。2020年には大正大噴火以前のレベルまで回復するという研究も発表されています。「令和大噴火」の可能性はあるのでしょうか。
「地盤が隆起して大正大噴火時の水準まで戻ったのは確かですが、大噴火する兆候は今のところ見られません。しかし、マグマは供給され続けているので20年以内に大噴火が起こる可能性はあります」(井口教授)
大正時代と比べて観測体制が整備されている分、大噴火が起きた場合にも人的被害が抑えられることが期待されますが、被害を減らすためには日頃の心構えや確実な情報入手が求められます。
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