独自の予測システムを構築 2019年ウェザーニュース予報精度は91%
ウェザーニュース / 2020年1月31日 14時30分
今冬は暖冬となり、冬型の気圧配置が長く続かず、西日本・東日本を低気圧や前線が通過していくことが多くなりました。そんな中、2019年12月は今年の中で予報精度がもっとも高い月となり、2019年一年間の降水捕捉率は91%となりました。
その理由をウェザーニュース予報精度改善チームの気象予報士 宇野沢が解説します。
2019年12月の予報精度は97%
![](http://smtgvs.weathernews.jp/s/topics/img/202001/202001310085_box_img0_A.jpg?1580265192)
ウェザーニュースでは、精度の高い天気予報を提供するため、日々予報精度の改善に取り組み続けています。
実際に雨が降っていたところに対して、雨の予報を出していたかどうかを示す「降水捕捉率」を用いて精度を検証した結果、2019年12月のウェザーニュースの予報精度は97%となり、2019年の月別の精度としては、11月に続き最も高い数字を更新しました。
2019年一年間では91%の捕捉率
![](https://smtgvs.weathernews.jp/s/topics/img/202001/202001310085_box_img1_A.png?1580226044)
また、2019年1月から12月までを合わせた2019年トータルの降水捕捉率では91%となっています。
※ここで扱う予報精度は、気象庁の評価方法に準拠した「降水捕捉率」を指しており、朝5時に発表された当日の天気マークを対象としています。
対象地点はアメダス1300箇所で、1日の積算降水量が1mm以上となった場合を「降水あり」としています。
また、気象庁も同様に、発表した予報に対して評価を行っており、ホームページ上で一般に公開しています。
ウェザーニュースの雨予報に対するスタンス
ウェザーニュースでは、より一般の方の感覚に近い天気予報を出せるように努めています。
ウェザーニュースでは、アプリ会員から天気報告をいただくことにより、現地にいる人が雨と感じる状況を把握しています。これにより、雨量計などではわからないけれども、実際には雨が降っているという事例が過去にいくつもありました。
そのため、1時間に1mmに満たない弱い雨でも、現地で“雨が降っている”と感じる降り方の雨になると予想すれば、雨予報をお伝えしていくことにしています。
弱い雨も含めた年間の“適合率”は95.1%
![](https://smtgvs.weathernews.jp/s/topics/img/202001/202001310085_box_img4_A.jpg?1580446392)
次に、ウェザーニュースの雨予報のスタンスに合うように、現地で“雨が降っている”と感じる1mmに満たない弱い雨についても、精度評価を行いました。
全国約150か所にある気象官署(気象台や測候所)では、降水量が1mmに満たない、0.5mmやそれよりも弱い雨(感雨)も観測しています。
捕捉率(1mm以上の雨で計算)ではなく、雨の予報を出していたところに、1mm未満の弱い雨も含めて雨が降ったという条件にする【適合率】というものを用いて検証を行いました。
その結果、適合率は2019年12月においては94.5%となりました。2019年一年間を通してでは95.1%となり、1mm以上の雨を対象とした捕捉率よりも高い数字となりました。
高精度の予報ができる独自の予測システム
ウェザーニュースが精度の良い天気予報をお伝えできる裏側には、以下の3つの独自のシステムがあります。
<日本中を網羅する独自観測ネットワーク>
全国にいる多くのウェザーニュース会員の方(ウェザーリポーター)に、ご自身のエリアの天気や現地の写真をリアルタイムに共有して頂いていること、それに加え、独自観測機やライブカメラなど、合わせて1万3000地点の独自観測網もあるため、詳細に天気を把握することができています。
<複数の予測モデルに加え、日々の評価でアルゴリズムをチューニング>
ウェザーニュースでは各機関の気象予測モデルの計算に加え、独自の気象予測モデルの計算結果も取り入れています。独自観測ネットワークで、現在の天気を正確に把握できているので、各モデルのシミュレーション結果をそれぞれ評価し、より最適化したものを最終的に予報のベースとして使用しています。
2019年はこの最終的に出した予報について毎日評価を始め、天気のパターンごとに独自の天気予報を出すアルゴリズムをチューニングするようになりました。そのため、精度の高い予報をお伝えできるようになっています。
<1km四方ごとの超高密度な天気予報>
また、ウェザーニュースでは1km四方ごとと非常に高解像度で予報を出しているので、局地的な現象についてもより正確に予報に反映することができます。
2019年はこの局地的な現象の予想に、地域ごとの天気の特徴(地域特性)も日々機械学習させ、アルゴリズムを進化させることで、綿密ながらもより精度の高い予報を出せるようになりました。
2019年を振り返ってみて
ネットワーク化された会員からのリポートや独自センサーなど、“今”を正確に捉えるシステムによって支えられて、2019年は年間で捕捉率91%となりました。また、データを処理解析し、予測につなげる技術としての機械学習を高度化することも精度を向上させるための重要なファクターとなりました。
2019年は台風により大きな被害が発生したり、記録的とも言える暖冬により降雪量が極端に少ないなど、気象面からみたときにインパクトの大きい年となりました。このように気候変動により今後もこれまでの常識では捉えきれない気象現象が今後も増えることが予想されます。2020年も常に変化を恐れずにイノベーションを続けていきたいと思います。
【宇野沢 達也】
ウェザーニュース予報センター 気象予報士。千葉県旭市出身 自治体防災担当職員から転職し入社27年目。予報精度改善チームで予報業務および精度検証・改善を行っている。
参考資料など
降水捕捉率 検証方法説明(気象庁ホームページ) https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/kensho/explanation.html
気象庁 天気予報検証結果 https://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/kensho/score_f.html
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