1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

体外に出たウイルスの寿命 コロナはインフルの数倍以上か

ウェザーニュース / 2020年2月21日 5時21分

ウェザーニュース

新型コロナウイルスの国内感染が各地で報告されています。新型肺炎やインフルエンザは、咳やくしゃみなどで患者の体の外に出たウイルスが感染を引き起こすのですが、ウイルスの寿命はどれくらいなのでしょうか?

誰かの細胞内でしか生き残れないウイルス

「細菌は適度な湿度と温度、栄養があれば生存・増殖できます。だから食中毒菌などは弁当箱の中で増殖するのです。しかし、ウイルスは人や動物の細胞内でしか生存・増殖できません。咳やくしゃみなどで体外に出たウイルスは、誰かに感染して細胞内に入らない限り生き残れないのです」と語るのは、横浜相原病院(神奈川県横浜市)の吉田勝明院長です。

では、人に感染できなかったウイルスはどうなるのでしょうか?

「人や動物の体から出たウイルスは、一定の時間を過ぎると不活化(ふかつか)する、つまり死滅します。寿命を迎えたと言っていいでしょう。その寿命はウイルスによって違い、短いものもあれば、驚くほど長いものもあります」(吉田院長)

体外で1か月以上生きるウイルスも

ウイルスの寿命は多くの研究機関が調べています。以下、代表的なウイルスの寿命を紹介します。

【インフルエンザウイルス】
ウイルスが付着した表面の状況(平滑か凸凹か)や気候条件(温度、湿度など)、付着したウイルスの状態と量によっても変わりますが、通常の飛沫が付着した場合には、およそ2〜8時間と考えられます。

【ノロウイルス】
気温が20℃では1か月前後ですが、4℃だと2か月間感染力を保ちます。

【RSウイルス】
温度変化に弱く、55℃で5分間、37℃で24時間、4℃で4日間後に90%が感染力を失います。

【アデノウイルス】
流行性角結膜炎(はやり目)などを流行させるウイルスです。何かの表面に付着したものは、紙の上で10日、モノの表面で3〜8週間生存することがあるとのデータがあります。

【コロナウイルス】
ドイツのルール大学ボーフムとグライフスヴァルト大学病院衛生研究所の研究グループが、コロナウイルスが引き起こすSARS(重症呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)に関する22本の論文を精査しました。

その結果、病院のドアノブ、ベッドサイドテーブル、ナースコール用のベルなどの金属やプラスチックに付着したウイルスは、最長で9日間、感染力を維持することができるという結論を出しました。研究者らは、これまでの研究対象は今回の新型コロナウイルスではないとしていますが、新型コロナウイルスも同じ性質を持つとすれば、インフルエンザウイルスより寿命が長いため、それだけ感染力が強いと考えられます。


「インフルエンザウイルスは低温・乾燥の環境では寿命が延びるなど、温度や湿度の気象条件によっては、ここで挙げられた時間よりも長く生息する可能性もあります。新型コロナウイルスについては、まだ分かっていないことが多くありますが、詳しいことが分かっていないからこそ、くれぐれも手洗いやマスク、消毒などで感染症予防を心がけてください」(吉田先生)

参考資料など

CDC「2009 H1N1 Flu ("Swine Flu") and You」/Doultree J.C.,Druce J.D.,Birch C.J.,Bowden D.S.,Marshall J.A..Inactivation of feline calicivirus, a Norwalk virus surrogate. Journal of Hospital Infection 1999,vol.4,no.1/菱木はるか 他:小児看護 2005;28(5):603-10.【7897】/ Kampf G, Todt D, Pfaender S, Steinmann E, Persistence of coronaviruses on inanimate surfaces and its inactivation with biocidal agents, Journal of Hospital Infection, https://doi.org/10.1016/j.jhin.2020.01.022.

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください