春から活発化する「ヒアリ」はいま…

ウェザーニュース / 2020年4月8日 5時0分

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南米原産で強い毒を持つ特定外来生物のヒアリ。気温が上昇する春頃から活動が活発化するとされています。日本で初めて発見されたのは2017年5月、中国広州市から神戸港に運ばれたコンテナの中で発見されました。その後も各地で発見されていますが、日本に定着しているのでしょうか。

刺されると火傷のような激しい痛み

「ヒアリの特徴は、刺されると火傷のような激しい痛みを生じ、毒性が強いため毒針で刺されるとアレルギー反応で死に至る危険性があることです」と言うのはアース製薬ブランドマーケティング部シニアブランドマネージャーの渡辺優一さんです。

ヒアリが国内で初めて発見されたと報道された直後の2017年7月には、アース製薬のアリ対策製品の出荷量が前年同月の2倍になることがあったそうです。が、その後は大きな変化はないといいます。

ヒアリは専門家でないと判断できない

ヒアリは赤茶色の小型のアリです。南米中部が原産ですが、アメリカ、中国、台湾などの環太平洋沿岸諸国に定着しています。草地など比較的開けた環境に生息し、土でアリ塚を作る習性があります。

「ヒアリは、赤っぽくツヤツヤしていて腹部の色は暗め、働きアリの体長が2.5〜6.5mmと幅があります。肉眼で日本の在来種と見分けるのが困難で、専門家が顕微鏡での観察やDNA鑑定を行わないと判断できません」(渡辺さん)

ヒアリが定着すると想定される被害

ヒアリに刺されると猛烈な痛みだけでなく死ぬこともあります。そんな人的被害だけでなく、ヒアリが1930年代に定着したアメリカでは、年間50億ドル(5400億円)を超える被害が出ています。ヒアリの巣が建物や道路の下につくられれば倒壊や陥没、通信ケーブルや電気設備を食い破れば停電、さらに作物を枯らしたり家畜を襲うなど農業被害をもたらすのです。

ヒアリの防除は環境省が中心になって行っています。ヒアリと疑われるアリが見つかったら、都道府県や市町村に通報すると環境省に連絡が行き、専門家が調べて駆除します。アース製薬にも相談があるそうです。

「毎年、アリの活動が活発になる5月から8月にかけて、またヒアリに関する報道があったときに問い合わせや相談が増えます」(同社お客様相談室課長・川人展子さん)

ヒアリは国内定着の瀬戸際

これまで国内にヒアリが発見されても、そのたびに駆除しているので定着していないとされています。しかし、昨年10月、環境省は東京港青海(あおみ)ふ頭でヒアリ発見の通報を受けて調査した結果を公表しました。一定規模のコロニーと50匹以上の女王アリを確認し、すべて駆除しましたが、繁殖可能な女王アリが周囲に拡散した可能性があるというのです。

周囲に拡散した女王アリが産卵して巣をつくり、新たなコロニーが形成されれば、ヒアリの定着を許すことになります。

「ヒアリは一度定着すると根絶することが困難なので、早期発見・早期駆除により定着前の根絶を図ることが大切です。ヒアリは非常に攻撃性が強く人体にとって危険な生物ですので、個人で駆除せず、ヒアリ相談ダイヤル、または都道府県の環境部局にご連絡ください」(渡辺さん)

ヒアリが定着すると、攻撃的なヒアリは在来種を駆逐して人的・経済的被害を拡大します。これからアリの活動が活発になる季節を迎えます。もし「ヒアリかな?」と思ったら、絶対に刺激せずに、ヒアリ相談ダイアルなどに連絡するようにしましょう。

※ヒアリ相談ダイヤル=0570-046-110(全国共通)

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