梅雨時期に注意したい 2種類の頭痛と対処法
ウェザーニュース / 2020年7月28日 5時0分
梅雨の時期になると頭痛がある、頭が重いなどの症状に悩まされることがあります。
源保堂鍼灸院の瀬戸郁保先生が、東洋医学の見地から、梅雨時期になりやすい頭痛の特徴とその対策を教えてくれました。
どうして梅雨時期に頭痛が起こるのか
ジメジメ、ムシムシとしているこの時期、頭痛だけでなく、身体がだるい、お腹が緩い、息切れがする、食欲がない、といった方は、湿気(東洋医学でいう「湿邪〈しつじゃ〉」)の影響である可能性があります。
「湿気は過剰になると体内の水分量が増え、様々な不調を招きます。例えば、水分が上手に排出されず、血がドロドロになって『血瘀(けつお)』(血液の流れが悪い状態)になってしまうことがあります。また、酸素や栄養を運んだりする能力が低下し、老廃物の除去にも影響が出ます。その結果、頭痛や頭がなんとなく重い頭重(ずおも)、むくみ、だるい、などの症状が出てしまうのです」(瀬戸先生)
梅雨時の頭痛には2種類あった
ここでは特に、湿気が原因となって引き起こす2種類の頭痛にについて解説します。
血凝りタイプ/緊張性頭痛
「1つめは、血瘀が肩や首などの筋肉に広がった場合です。筋肉の血流が悪化し筋肉の動きが悪くなっています。アルコール等の飲み過ぎで肝臓が疲弊している時に悪化しやすく、肩や首が張る症状を招きます。他の人に触ってもらっても肩がぽこっと腫れたように硬くなっていたり、それが首から背中にかけて山脈のように連なることもあります。
このような症状がある時は要注意。いわゆる緊張性頭痛と呼ばれるもので、首や肩周りの緊張が頭皮を突っ張らせてしまうことで頭痛が起きています」(瀬戸先生)
血瘀筋膜タイプ/筋筋膜性頭痛
「2つ目は、血瘀が筋膜に入った場合。筋膜とは筋肉を包む膜のことで、腕や足など体全体に張り巡らされています。筋膜付近で血流が悪くなると、ネバネバした水分が筋膜に溜り、筋肉の動きに引っかかりが生じ、筋肉同士がギシギシ擦れてしまう状態になってしまいます。
足がつりやすい人、寝不足の人、舌に苔が多い人などがなりやすく、西洋医学では筋筋膜性頭痛といいます。女性の場合、生理のときに限って頭痛が出るという方も多いでのすが、それは生理によって血瘀が生じるためです」(瀬戸先生)
間違った頭痛対策とは
知識のない人による肩もみは逆効果!?
一般的に頭痛の対策として、揉む・湿布を貼るなどがありますが、あまりおススメできないと瀬戸郁保先生は言います。
「凝りがあると揉めばいい、と考える人が多いですが、知識のない素人による肩もみはよくありません。血流が悪くなっている筋肉を強く揉むと、かえって筋肉を傷め、凝りがひどくなることがあります。特に強揉みは絶対避けましょう。
湿布は、凝りがある場所に痛みがあったり、熱がある場合に患部を冷やす目的で一時的に使う分には問題ありません。しかし、【「湿」布】という字からもわかるように、長時間貼り続けると、かえって冷えを助長してしまうので注意してください」(瀬戸先生)
効果的な頭痛対策
血行改善が頭痛対策の鍵
冷やさずに温めることが効果的な対処法となるようです。
「まず、エアコンの除湿機能などで部屋の湿気を取り除きましょう。そして血行を良くすることを意識しましょう。『血流が悪い』と聞くと寒い季節を考えがちですが、前述したように湿気が高いこの時期も血行が滞りやすくなっているので、お風呂に入るなどして身体を温めるといいでしょう。場合によってはカイロを使うなどして、首回りは特に冷やさないようにしてください。
血行を良くするためには、ほかにも筋肉をほぐしたり、筋膜を緩めたりするストレッチが有効です。ストレッチは内臓を刺激し、余分な水分を出しやすくすることにも役立ちます。梅雨時期は、空気が重く呼吸が浅くなりがちです。腹式呼吸や深呼吸をすることもぜひ心がけてください」(瀬戸先生)
ただし、こうした対処法もすべての頭痛を改善するわけではありません。
「例えば、コーヒーを飲むと治まるようなタイプは偏頭痛なので、湿邪対策は適用できません。また、突然起きる猛烈な痛みや、少しずつ増していく痛み、手足の麻痺やろれつが回らない、発熱をともなう頭痛は、脳に関わる病気の可能性があります。直ちに脳神経外科を受診してください」(瀬戸先生)
自分の症状と相談しながら、自分に合った対処法を実践してみてください。
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