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台風10号接近で九州沿岸は高潮警戒 高潮から身を守るためには

ウェザーニュース / 2020年9月5日 10時45分

ウェザーニュース

特別警報級の勢力に発達すると見られる台風10号。暴風や大雨の被害も予想されますが、発生すれば広い地域が長期間にわたって浸水するのが高潮による被害も懸念されています。

台風10号は過去最強クラスの勢力を保ったまま接近するおそれがあり、気圧の低下による吸い上げ効果と、暴風による吹き寄せ効果が重なった場合は、記録的な高さの潮位になってもおかしくありません。高潮が発生するメカニズムと、避難する際の注意点を事前に頭に入れておきましょう。

気圧低下と吹き寄せで海面が上昇する

高潮とは、台風が接近して気圧が低くなると海面が上昇する「吸い上げ」という現象が起こります。同時に強風で海岸に海水が押し寄せる「吹き寄せ」という現象も起こります。さらに満潮時刻が近いと、さらに潮位が高くなります。「吸い上げ」「吹き寄せ」「満潮」の3つが揃うと、沿岸の海面が3〜4m上昇し、堤防や防潮堤を越えて海水が流れ込んでくるのです。

海岸付近の低地はもちろん、海水の逃げ場がなく水位が上がりやすい湾奥部、高潮と洪水の両方の危険が重なる可能性のある河口部などは、より一層潮位が上がりやすいので、高潮による浸水被害の特に危険なエリアとされています。

九州の過去の高潮被害

台風10号が接近している九州では過去にも高潮災害がありました。

・1927年9月、台風が上陸し(上陸時の中心気圧980hPa)、有明海の潮位は最大3.8m上昇。死者・行方不明者439人、全壊・半壊1420戸の被害が出ました。

・1945年9月、九州南部に枕崎台風が上陸し(上陸時の中心気圧916hPa)、潮位は最大2.6m上昇。死者・行方不明者3122人、全壊・半壊11万3438戸の被害でした。

・1985年8月、台風13号が上陸し(上陸時の中心気圧955hPa)、有明海の潮位が最大3.3m上昇。死者・行方不明者3人、全壊・半壊589戸の被害でした。

・1999年9月、台風18号が上陸し(上陸時の中心気圧940hPa)、八代海の潮位が最大4.5m上昇し、死者・行方不明者13人、全壊・半壊845戸の被害を出しました。

高潮から身を守るためには

河川氾濫を想定した「洪水ハザードマップ」はよく知られていますが、沿岸の市町村の多くが「高潮ハザードマップ」を作成しています。高潮が発生したら自分の家がある場所は浸水深がどのくらいになるのか、地図上で確認できるのです。台風10号で高潮発生が予想される九州地方の人は事前に「高潮ハザードマップ」を確認してください。

また、台風の中心が近くを通るほど、高潮の影響が大きくなりますので、必ず最新の予想進路を確認してください。さらに、満潮時刻はもちろん、満潮時刻の前後数時間は、潮位が短時間のうちに異常に上昇することがあります。最新の気象情報とともに、満潮時刻も事前にチェックしておきましょう。

高潮で自宅が浸水する可能性があれば、避難勧告や避難指示、避難準備情報が出た場合に備えて、非常時持ち出し袋を準備しておき、早めに避難してください。安全な場所に住んでいる親戚や知人がいれば、そこに避難することも考えましょう。

高潮から身を守るためには、何よりも早めの避難が肝要です。しかし、暴風が吹くなど外への避難が難しい場合には、無理をせずに、できるだけ高い場所へ逃げて待機するようにしましょう。気付いた時にすでに高潮が迫っていた場合は、あせらず落ち着いて、命を守るための最善の行動をとるよう心掛けましょう。

参考資料など

内閣府・消防庁・農林水産省・水産庁・国土交通省・気象庁「高潮災害とその対応」、国土交通省四国地方整備局「津波(つなみ)と高潮(たかしお)はどう違うの?」(http://www.skr.mlit.go.jp/bosai/bosai/tounannkai/kisochishiki/tunamikankei/douchigauno/douchigauno.html)

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