甘くてシャキシャキ、秋の味覚「梨」が体を内側から健康に
ウェザーニュース / 2020年9月21日 14時0分
実りの秋を迎えています。梨(なし)もその一つです。シャキシャキした、特有の食感が好きな人も多いでしょう。
そもそも梨とはどんな果物なのか、歴史や種類、栄養について見ていきましょう。
『日本書紀』に登場する、歴史ある果物
梨は奈良時代の720年に完成した歴史書『日本書紀』にも登場するほど、古くから日本人に愛されてきた果物です。『日本書紀』の中に、持統天皇(天武天皇の皇后でもあった女帝)が梨の栽培を勧める記述があるというのですから、興味深いですね。
『日本書紀』の時代から1300年以上経った現在、梨は種類も味も多様になって、私たちの味覚を楽しませてくれています。
「赤梨」も「青梨」もジューシー
日本では現在、「日本梨」「西洋梨」「中国梨」の3種類が出回っています。国内生産量が最も多いのは日本梨で、日本梨は「赤梨(あかなし)」と「青梨(あおなし)」に大別できます。皮が褐色の日本梨が赤梨、皮が黄緑色の日本梨が青梨です。いずれも大半が水分なので、汗をかいたときなどの水分補給にもおすすめです。
赤梨には「長十郎」「幸水(こうすい)」「豊水(ほうすい)」「新水(しんすい)」「新高(にいたか)」など、青梨には「二十世紀」「秋麗(しゅうれい)」「かおり」などがあります。
特有の食感を楽しめ、甘くて、さわやかな風味が魅力の梨。でも梨の魅力は、香りや味わいだけでありません。栄養価も目を見張るものがあります。
以下では、主に日本梨の栄養について見ていきます。
便秘解消や疲労回復にもおすすめ
シャキシャキした食感は、リグニンとペントザンという成分からできた石細胞(せきさいぼう)によるものです。この石細胞は便通をよくするなどの働きをします。
さわやかな甘みのもとになっているソルビトールという成分も、腸内環境を整え、便秘を改善する働きをすると考えられています。おなかの調子に不安にある人にとって、梨は心強い味方になってくれそうです。
梨に含まれるポリフェノールには、抗酸化や抗がん、老化防止の作用があると考えられています。さらに、疲労回復に効果のあるクエン酸やリンゴ酸、アスパラギン酸、高血圧の予防に役立つカリウムも含まれています。
「有りの実」の梨を食べて健やかに!
梨は「無し」に通じるので、それを嫌って、「有りの実」と言い換えられることがありますが、こうして見てみると、実際、いろいろな「有り」の食べ物であることがわかります。
甘くておいしく、栄養も豊富な「有りの実」の梨。秋を迎えた今、楽しみたい味覚の一つですね。
参考資料など
『からだにおいしいフルーツの便利帳』(監修/三輪正幸、高橋書店)、『色の野菜の栄養事典』(監修/吉田企世子、エクスナレッジ)、『おいしい野菜の食べ合わせ便利帳』(白鳥早奈英、海竜社)、『くらしに役立つ栄養学』(監修/新出真理、ナツメ社)、『厳選フルーツ手帖』(世界文化社)、『決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典』(監修/足立香代子、西東社)、『TAKANOのごちそうサラダ』(著者/株式会社新宿高野、永岡書店)
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