越冬卵のために吸血…秋の蚊に注意が必要な理由

ウェザーニュース / 2020年10月10日 4時0分

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秋が深まるにつれて蚊に刺されることが減りました。「今年も蚊の季節が終わるのか」と思う人が多いでしょうが、秋の終わりに人を刺す蚊はいるし、都会では冬でも住居内で蚊が人を刺すこともあるのです。なぜ寒くなっても蚊は人を刺すのでしょうか。

越冬卵のために吸血するヒトスジシマカ

「ヤブ蚊と呼ばれるヒトスジシマカの成虫は、月平均気温10℃を下回り、昼間の時間が短くなると越冬用の卵を産み、死んでしまいます。本州なら10〜11月ですが、産卵には人などを吸血する必要があるので、この時期に人を刺しに来るのです」と言うのはアース製薬研究部の有吉立さんです。

蚊が人を刺すのは卵を産むために、ほ乳類等の血液が欠かせないためです。寒くなる時期でもヒトスジシマカが人を刺すのは子孫を残そうと必死なのです。

アカイエカは休眠、チカイエカは通年で活動

ヒトスジシマカに加えて、アカイエカとチカイエカがいますが、この2種は冬の間はどうしているのでしょう。

「アカイエカは成虫で越冬しますが、秋に羽化した成虫は、洞窟や下水溝などで休眠に入って翌年の春を迎えます。家の玄関の下駄箱で休眠しているアカイエカが報告されています」(有吉さん)

アカイエカは寒くなると休眠しているようですが、チカイエカはどうしているのでしょうか。

「チカイエカは文字通りビルの地下水槽・排水槽・地下鉄の構内・古井戸などで発生し、冬も休眠せずに活動しています。そのため発生源に通じている地下鉄や飲食店などでは冬でも刺されたり、地下水槽や排水槽がある都会の一般住宅でも蚊に刺されることがあります」(有吉さん)

秋冬も出てくる蚊はどう撃退する?

蚊は夏だけでなく、今や一年中出てくるようです。冬になっても出る蚊を撃退するにはどうしたらよいのでしょうか。

「夏は電気式蚊とり器や蚊とり線香をお使いの家庭が多いと思いますが、季節に関係なく有効ですので、寒くなっても蚊が出てくれば、ぜひお使いください」と言うのは、アース製薬研究部の浅井一秀さんです。

電気式蚊とり器や蚊とり線香の主成分は総称してピレスロイドと呼ばれています。ピレスロイドは、昆虫に効果がありますが、人間を含む哺乳類は体内分解酵素があるため毒性が極めて低いとされます。年間を通して使用しても健康に被害がないので、冬でも出る蚊は電気式蚊とりや蚊とり線香を利用してはどうでしょうか。

地球温暖化で蚊の生態も変わってきた

蚊の生態が地球温暖化で変わったそうです。

「ヒトスジシマカは1950年代まで北関東が北限でしたが、2015年には青森県八戸市に北上したことが確認されています。地球温暖化が続けば、やがて北海道に侵入する可能性も否定できません」(有吉さん)

南方の蚊が日本に定住することもある得ると言います。

「2014年にデング熱の国内感染が発生しました。デング熱は、日本国内に生息するヒトスジシマカが感染源でしたが、今、日本に定着していないネッタイシマカも媒介します。可能性は小さいですが、地球温暖化が進めば、南方系のネッタイシマカが日本に定住して、デング熱の感染が身近になる恐れがあります」(有吉さん)

ネッタイシマカは、感染症の黄熱病やジカウイルスも媒介します。日本の国際空港で検疫所が行なっている調査(ベクターサーベイランス)でネッタイシマカが相次いで発見されています。幸い定住は確認されていませんが、地球温暖化が進行すると、新たな感染症が日本を襲うことになります。

「ネッタイシマカはヒトスジシマカの近縁種ですが、ヒトスジシマカより屋内を好むため、デング熱やジカ熱などの感染症を媒介することが危惧されます」(有吉さん)

将来は「たかが蚊に刺されたくらい」ですまなくなるかも知れません。涼しくなっても蚊にご用心ください。

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