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ボジョレー・ヌーヴォーは、なぜ特殊なワインなのか?

ウェザーニュース / 2020年11月19日 5時0分

ウェザーニュース

いよいよ本日解禁となったボジョレー・ヌーヴォー。毎年この時季に話題になるワインの新酒は、フランス、ブルゴーニュ南端のボジョレー地区で造られています。ボジョレー地区は黒ブドウ品種のガメイを用いた軽めの赤ワインが知られていますが、なぜこれほどの人気を集めるのでしょうか。宮城大学食産業学群教授の金内誠先生に訊いてみました。

今年獲れたブドウを使った新酒のワイン

世界的に11月の中旬は収穫祭が行われる時季にあたります。

「ボジョレー地方では、11月の収穫祭にその年に穫れたブドウで造る新酒を飲んで、ブドウの出来を確認していました。これがボジョレー・ヌーヴォー(ヌー=新しい、ヴォー=酒)です。なぜ解禁日が設定されているかというと、フランスの法律で11月第三木曜以前に新酒を飲むことは禁止されているからです。そこで、世界各国で現地時間の11月第三木曜を待って、日付が替わると飲み始めるのです。

これは『初物好き(江戸時代からの初カツオなど)』の日本人にとっては関心が高く、爆発的ブームになりました。特にバブル景気時はブームに火が付き、解禁日の午前零時に新東京国際空港の貨物ターミナルで飲む人まで現れました。さらに、1990年代の赤ワインブームに乗ってバブル時代を上回る市場規模に育ったのです」(金内先生)

特徴は炭酸ガス

今年獲れたブドウで作るボジョレー・ヌーヴォーは通常のワインと製造方法が異なるようです。

「通常、赤ワインは、皮と一緒に発酵させることで、アルコールに色素が抽出(ちゅうしゅつ)されます。これを『かもし発酵』といいます。この間にブドウ果皮から渋みポリフェノールであるタンニンも抽出されます。これを熟成で飲みやすく『まろやか』にするわけです。

しかし、ボジョレー・ヌーヴォーの場合、短期間の発酵なので、タンニンをまろやかにする熟成ができません。また、かもし発酵も十分ではありません。そこで、密閉タンクに、炭酸ガスを充満させ、ブドウの実を入れ、放置します。そうすると、ブドウの実は自己消化し始め、渋みタンニンの溶出を抑えながら、赤い色素を効率よく溶出させます。

これを『マセラシオン・カルボニック』といいます(マセラシオン=浸漬、カルボニック=炭酸ガス)。この後に、搾(しぼ)って通常のワイン製造法に従って製造するのです。つまり、ボジョレー・ヌーヴォーは、炭酸ガスに浸すことで短時間熟成でも、渋みの少ない美味しいワインが製造できるのです」(金内先生)

いよいよ本日解禁されたボジョレー・ヌーヴォー。初物ワインで今年のブドウの味を楽しみましょう。

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