三重県南東沖の深発地震で異常震域 南海トラフ地震とは別要因
ウェザーニュース / 2021年1月15日 22時45分
1月15日(金)22時39分頃、関東や東北地方で最大震度1を観測する地震がありました。震源地は三重県南東沖で、震源の深さは約390km、地震の規模はM5.3と推定されます。この地震による津波の心配はありません。
深発地震による「異常震域」と呼ばれる震度分布がみられ、震央近傍では震度1以上の揺れが観測されず、震央から離れた場所で揺れが観測されました。
深発地震による異常震域とは
深発地震による異常震域の模式図
今回の地震は非常に深い所で発生する「深発地震」と呼ばれるものです。
多くの地震では震央から同心円状に揺れの強い地域が分布しますが、今回の地震では地震波が伝わりやすい太平洋プレートに沿って遠方の地域に揺れが伝わる「異常震域」と呼ばれる震度分布となりました。
三重県南東沖から東海道南方沖、鳥島近海などでは同様の深発地震が発生することがしばしばあり、数年に一度M6以上の規模の地震も発生します。一方、一度の地震での余震がほとんどないことも特徴です。
1984年1月1日には三重県南東沖でM7.0の地震が発生し、東京都千代田区や横浜市で震度4を観測しました。こうした地震は津波の発生こそないものの、大きな揺れを伴うことがあるため、注意が必要です。
南海トラフ巨大地震とは別要因
日本列島周辺のプレート
今回の地震は、震源の深さが速報値で約390kmと、かなり深い地震でした。日本海溝/伊豆・小笠原海溝から西に向かって沈み込む太平洋プレートの周辺で発生した地震とみられます。防災科学技術研究所の速報解析では、東西方向に圧力軸を持つ逆断層型の地震とみられます。
一方、一般的な「南海トラフ巨大地震」はフィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込む境界付近で発生する地震で、想定される震源の深さは10kmから40km程度とされています。今回の地震の発生メカニズムは、南海トラフ巨大地震とは別要因と考えられます。
また、地震の規模からは、誘発地震の危険性などは小さいと考えられます。
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