初詣する人は知っておきたい! 「神宮」「神社」「大社」などの違いは?
ウェザーニュース / 2022年1月1日 5時0分
年が明けて最初に社寺へ参拝する行事を、初詣(はつもうで)といいます。何日までに詣でないといけないという決まりはなく、コロナ禍で迎える2022年は、昨年に引き続き参拝者が集中しないように、時期をずらした「分散参拝」をお願いしている社寺が多いようです。
ところで、神道系へお参りする先の○○神宮、○○神社、○○大社といった呼び名には、どんな違いがあるのでしょうか。平安時代初期に建立された東京の神社の宮司さんに教えていただきました。
単に「神宮」といえば伊勢神宮のこと
「神道では、○○神宮、○○神社など、日本古来の神を祀る施設に付されている称号を“社号”といいます。○○神宮と呼ばれるのは、そこに祀られている神(祭神:さいじん)が、皇室の祖先であるなど皇族と縁の深い神社です。
たとえば皇祖をお祀りしている神社には霧島神宮や鹿児島神宮、天皇をお祀りしている神社には平安神宮や明治神宮などがあります。
単に“神宮”と呼ぶときは、皇室の祖先とされる天照大神(あまてらすおおみかみ)をお祀りする伊勢神宮を示す正式名称として用いられます」(宮司さん)
限られた社号である神宮の中でも、伊勢神宮は別格の存在なのです。
「これに対して○○神社は、その略称である“社”とともに一般的な社号として広く用いられています。祭神の名を冠した神社や、地名を冠した神社が一般的です」(宮司さん)
「宮」と「大社」はどのような神社か
○○宮(みや、ぐう)という社号がつく神社はどうでしょうか。
「○○神宮と同じように皇族と縁が深く、おもに親王(天皇家の男子)を祭神にしています。また、歴史上の要人を祀る神社にも使われる社号です。後者の代表格に、徳川家康を祀った東照宮、学問の神である菅原道真を祀った天満宮があります」(宮司さん)
大社(たいしゃ)は元来、大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀る島根県の出雲大社だったそうです。
「戦後、社号の再整備がなされた際、同名の神社をまとめる役目を担う歴史ある神社として、奈良県の春日大社や長野県の諏訪大社など、いくつかの神社に社の社号が与えられました」(宮司さん)
「大明神」「権現」などは?
このほか、社号とは異なりますが、古くからの神様の名前に大神(だいじん)、大明神(だいみょうじん)をつけた社(やしろ)もあります。また、神仏習合の影響によってできた権現(ごんげん)も社号に類する称号として用いられ、各地で信仰されています。
「このように神社によって呼び名は異なりますが、それぞれの神社に対する人々の篤い信仰心は、等しく尊重されるべきでしょう」(宮司さん)
また、全国の神社は、別格の存在である伊勢神宮以外を、氏神神社(うじがみじんじゃ)と崇敬神社(すうけいじんじゃ)に大別できるそうですが、どのような違いがあるのでしょうか。
「氏神神社は、居住する地域の氏神様をお祀りする神社です。この神社が鎮座する周辺の地域に居住して信仰する人々を氏子(うじこ)と称します。
崇敬神社は、氏神神社のような地縁や血縁ではなく、個人の特別な信仰によって祀られている神社です。この神社を信仰する人々を崇敬者と呼び、神社の維持や教化のために崇敬会などといった組織が設けられています。
氏神神社と崇敬神社の違いは以上のようなことであり、一人の人が両方を信仰の対象としても差し支えありません」(宮司さん)
いかがですか? 社号の違いがわかるようになると、参拝するときの心構えも変わってくるのではないでしょうか。
これから初詣に行かれる方は、参拝する神社の社号にも注意を払ってみましょう。
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