「しょうが」や「長風呂」は注意!? 冷え性対策、3つの誤解
ウェザーニュース / 2022年1月13日 5時0分
日に日に寒さが増してくる季節となりました。冷え性対策で体の負担となっている場合があるといわれます。
『お手軽気血ごはん 1週間で必ず体がラクになる』(文化出版局)の著者で源保堂鍼灸院(東京都渋谷区)の瀬戸佳子先生(国際中医薬膳師)に教えていただきます。
“冷え性対策”の誤り?
冷え性の人にとって、寒い冬は一層辛いものです。対策として、しょうがを摂ったり入浴などに気を使っている人も多いのではないでしょうか。体を温める「温活」に熱心な人もいます。
「冬に体を冷やさない、というのは養生の基本です。ただ、人によっては間違った冷え性対策になってしまっていることもあるようです」と、瀬戸先生は指摘します。何が問題なのか、詳しくみてみます。
▼誤解1/生の生姜(しょうきょう)は体を温める
しょうがは体を温めると人気です。ところがしょうがは、冷えに悩む人すべてに良いわけではないといいます。
「まず、しょうがといっても主に2種類あるのです。薬膳では、しょうがは生の状態のものを『生姜(しょうきょう)』、乾燥させたものを『乾姜(かんきょう)』と区別します。
生の生姜(しょうきょう)には解毒を促す作用などがあり、摂取すると体が温まったように感じます。ただ、これは体表近くの血流がよくなっているもの。汗腺を開いて汗をかくので、最終的には冷えにつながってしまいます。
一方、乾姜は体を芯から温める作用がありますので、冷えに悩む人にはオススメです。
ただ、乾姜も貧血の人や体の潤いが不足している人には、あまりオススメできないのです」(瀬戸先生)
潤いを運ぶ物質が十分でないと、体を温めたり冷ましたりする力が不足し、特に寒い時期には“冷え”が自覚症状として現れるといいます。
「これらの体質の人は、しょうがが合わないことが多いのです。体を芯から温める作用があっても、血液や水分などめぐらせる物質が少なく全身のめぐりが悪いと、“空焚き”のような状態になり、のぼせや肌荒れの原因となってしまうのです。
また、比較的元気な人でも、とり過ぎると胃を痛める原因になります。体によいものといっても1日1片程度に留めましょう」(瀬戸先生)
▼誤解2/お風呂は汗をかくまでしっかり
寒い1日の終わりには、湯船にしっかりつかって温まりたいものです。
「冷え対策のつもりで長風呂や長時間の半身浴をする場合、汗をかくほど入るのはよくありません。発汗により逆に体温が奪われてしまいますし、湯に皮脂が溶け過ぎてしまうのも肌の保温効果が薄れるとともに、肌の乾燥につながります。
特に気血両虚といってエネルギーや血液が不足しているタイプの人は、入浴により体力を奪われてしまいカゼをひきやすくなったりもするので、入浴は温まる程度にし汗のかき過ぎは避けましょう」(瀬戸先生)
▼誤解3/温活で冷えを改善する
“冷え”が辛いといっても、一般的な「温活」をしないほうがいいタイプの人がいます。足元などは冷たいのに、頭はのぼせたようになっている「冷えのぼせ」の場合です。
「冷えのぼせは、循環が悪くなることで、体の熱の分布が偏っている状態で、手足のような末端は冷えて辛くても、頭のように上の方に熱が滞留してしまっているのです。
お風呂などの水も、熱いものは上の方に、冷たいものは下の方に溜まりやすくなりますが、東洋医学で体を捉える際も、熱は上に行きやすく、冷えは下に行きやすいという性質があります。
冷えのぼせは、パソコン作業など目や脳をよく使う作業を長時間している方や更年期の方に多く見られます。
冷えのぼせの人は、体を温めると逆に気持ち悪くなったり体調を崩すことがあるので、注意が必要です」(瀬戸先生)
冷えのぼせの場合は、どうしたらよいのでしょうか。
「熱の循環を促してあげることが大切です。お風呂でも、まず足湯で熱の巡りを促します。日中のウォーキングなどの軽い運動で、血液の循環をよくするのも効果的です。
特に、パソコン作業の多い方は血流が上の方に集中しがちなので、適宜休憩をとり、足を動かすなどして血流を促しましょう」(瀬戸先生)
これからますます寒さは厳しくなります。これらの対策方法で温まり、体の養生を心がけましょう。
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