他のお米と何が違う? 「棚田米」がおいしく育つ理由とは
ウェザーニュース / 2022年6月7日 5時0分
今の時季、田植えが終わって青々とした苗が風にそよぐ地域も増えました。米は銘柄だけでなく、栽培される地域や気象条件などによってもおいしさが変わるといわれています。
なかでも「棚田米」といわれる米は、味に定評があるものの流通量が少なく、その希少性から一般的な米に比べて値段も高くなりがちです。
そこで、棚田米は他の米と何が違うのか、和歌山県那智勝浦町色川地区の「棚田を守ろう会」会長、松木繁明さんに伺いました。
傾斜地で工夫された米作り
そもそも、「棚田」とはどういう田んぼをいうのでしょうか。
「『棚田』は、田んぼが傾斜地に階段状に連なり、畦畔(けいはん、田んぼを区切るあぜのこと)をつけた小さい区画の水田の総称です。一般的には、山の急峻な傾斜地を階段状に区切って水平な面をつくり、田んぼにしています。平地が少ない場所で米を作るための工夫の賜物(たまもの)です。
私が手掛ける色川の棚田群では、ちょうど田植えの時期にあたっていますが、全部で田んぼは79枚、どれも面積は小さく形もさまざまです」(松木さん)
昼夜の寒暖差と水の流れが米をおいしくする
棚田で作られた米は、なぜおいしいといわれるのでしょうか。
「米は日当たりがよければおいしくなると思われがちですが、それだけではありません。朝晩の寒暖差が大きいと米は引き締まり、米に甘みの素であるデンプンが蓄積される量が増えます。棚田は、寒暖差が大きい山間部にあることが多いので、甘みのある米が育ちやすいのです。
また、棚田には高低差があり、上の田んぼから下の田んぼへといつも水が流れています。米は水でも味が左右されるといわれ、新鮮で上質な水を常に供給されている米は、よりおいしくなります。棚田は、山間部の良質な水が流れる場所に作られることが多く、こうした豊富な水資源もおいしい米が育つ理由の一つです」(松木さん)
ほぼすべてが手作業、丁寧な米作り
水や寒暖差などの自然環境以外にも、棚田米の魅力があるといいます。
「現代の米作りは機械化が進んでいますが、棚田は1枚の面積が小さい上に四角くなく、しかも段々があるので機械を入れることが困難です。したがって、田植えから収穫まで、昔ながらの丁寧な手作業で行っているところが多いのです。こうした手間をかけることで、丈夫でおいしい稲が育ちます。
しかし、田んぼの面積が少ない上に手間がかかるため、棚田の面積を増やすことも難しく、全体の収穫量は多くありません。こうした棚田の性質上、全国的にも耕作放棄された棚田が増えているのが問題となっています。
そこで、棚田を守っていこうと、『全国棚田(千枚田)サミット』が開かれます。今年は滋賀県ですが、来年は那智勝浦で開催予定です」(松木さん)
日本の原風景ともいえる、景観も美しい棚田。山間部の厳しい地理的条件を克服し、手間をかけた米をはぐくむ棚田を、ぜひ残していきたいものですね。
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