8月なのに「葉落ち月」? たくさんある"8月の異称"とは
ウェザーニュース / 2022年8月1日 5時0分
厳しい暑さが続く8月。ほとんどの人が、夏真っ盛りと思って過ごされていることでしょう。そんな8月の代表的な和風月名は、「葉月(はづき)」です。
『二十四節気と七十二候の季節手帖』などの著者で作家の山下景子さんに、葉月の由来とその他の8月の異称について伺いました。
なぜ「葉月」と呼ぶのか?
葉月のもっとも有力な語源説は、「葉落ち月」が変化したという説です。旧暦8月は、現在の9月頃ですが、昔は葉が落ち始める頃だったようです。
「葉落ち月」も、そのまま、8月の異称として使われました。
ほかに、稲の穂がふくらむ月という意味の「穂張り月」が変化したという説もあります。
その他の8月の呼び名は?
葉月のほかにも、8月の異称はたくさんあります。その一部を紹介しましょう。
【月見月】(つきみづき)
旧暦では7月から9月までが秋とされます。8月は真ん中の秋ですから「仲秋」とも呼ばれました。昔は「中秋」と書いても意味は同じだったのですが、次第に中秋は、秋の真ん中の8月15日をさすようになります。
この日の月は「中秋の名月」。最も美しい月とされ、お月見をします。
そこから「月見月」という異称もつきました。
【清秋】(せいしゅう)
昔は、8月ともなれば、心地よい秋風が吹き、さわやさが感じられたようです。「秋風月(あきかぜづき)」や「清月(せいげつ)」も旧暦8月をさします。また「清秋」「盛秋」「正秋」は、どれも「せいしゅう」と読み、旧暦8月の異称としても使われました。秋真っ盛りと思える頃だったのでしょう。
【燕去月】(つばめさりづき)
燕は、春に日本に飛来し、子育てをします。そして、旧暦8月頃、南の国に渡って冬を越すのです。そこから「燕去月」という異称もつきました。昔は日本のどこにでも、燕と入れ替わりに雁(かり)が渡ってきたので、8月のことを「雁来月(がんらいげつ)」ともいいました。
【木染月】(こぞめづき・きそめづき)
木の葉が染まり始める月ということで、「木染月」も旧暦8月の異称です。旧暦8月は、今の9月頃。それでも、紅葉には早すぎるような気もしますが、「こぞめづき」は「濃染月」とも書きました。また「紅染月(べにそめづき・こうぞめづき)」という異称もあります。
昔は、こんなに紅葉が早かったのでしょうか。
【竹春】(ちくしゅん)
初夏に出てきた筍(たけのこ)は、すくすく育って、旧暦8月頃には、立派な若竹になります。また、筍に栄養を回して、葉が枯れたようになっていた親竹も、いきいきとよみがえり、若葉を茂らせます。
まるで、竹だけは春のよう。そこから、この時期は「竹春」と呼ばれるようになり、旧暦8月の異称としても使われました。
【草津月】(くさつづき)
「草津月」の「つ」は、「の」という意味の古語です。つまり、「津」は当て字というわけです。旧暦8月ともなると、少し日差しもやわらぎます。それまで、照りつけられて、しおれがちだった草が、息を吹き返したように元気を取り戻す時期です。
そこから、草の月という意味で、草津月と呼ばれるようになりました。
【壮月】(そうげつ)
「壮月」も旧暦8月の異称です。「壮」には、盛んとか、活力に満ちているという意味があります。ですから、「草津月」と同様、草が元気になるということを表しているのでしょう。
紅葉が始まったり、葉を落とし始めたりする木々とは対照的です。
人も、この時期は、精気を取り戻す人と、夏バテが出てくる人に分かれるのかもしれません。
そのためにも、暑さの厳しい時期の過ごし方が大切だといえるでしょう。
夏休みとも重なる現在の8月。レジャーに行く機会も多いと思いますが、無理をせず、栄養や休養をしっかりとって楽しんでください。
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