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全体の7割以上!? 間違って食べてしまう毒キノコの“ツートップ”とは

ウェザーニュース / 2022年10月18日 5時0分

ウェザーニュース

暑い夏を過ぎて秋になり、適度な降雨のあと朝晩の気温が下がると、山や林に多くのキノコが発生します。秋は「キノコ狩り」の季節ですが、毒キノコを食べて中毒を起こす人が多い季節でもあります。

特に間違えやすい毒キノコのツートップについて、大型菌類が専門分野の、千葉県立中央博物館上席研究員の吹春俊光(ふきはる・としみつ)さんに解説していただきました。

食べてしまう毒キノコの圧倒的ツートップとは

間違って食べると中毒を起こしてしまうキノコはたくさんあると思いますが、統計上、中毒事故が多い毒キノコは何ですか?

「平成24年から令和3年までの毒キノコによる食中毒発生状況を調べた厚生労働省によると、患者数1位がツキヨタケ、2位がクサウラベニタケです。医療機関から保健所へ報告された統計上の数値ですが、患者数はこの2つで約73%を占めています」(吹春さん)

日本で確認されている毒キノコは約200種とされていますが、その中でどうしてこの2つが多いのですか?

「そっくりの食用キノコがあるので、それと間違えるのでしょう。ツキヨタケはムキタケやヒラタケ、クサウラベニタケはウラベニホテイシメジを採りに行く人がよく間違えます。

特にクサウラベニタケは大きなカゴを背負った、明らかにプロの姿の人でさえカゴの中を覗かせてもらうと入っています。食用のキノコだと確実に判断できないキノコは、採らない、あげない、もらわない、食べない、を徹底してください」(吹春さん)

ツキヨタケとは

ツキヨタケはどんなキノコですか?

「平安時代の今昔物語に食用ヒラタケと類似する毒キノコとして登場するくらい、昔から日本人を悩ませてきた代表的な毒キノコです。ブナ帯(本州の中~北部、やや標高の高い地域)に夏から秋にかけて発生します。

以前はキシメジ科に分類されていましたが、今はツキヨタケ科として独立しています。

見た目の特徴は、柄(え)が短く立ち枯れした樹の幹などに棚状に生えることと、ヒダが暗闇で青白く光ることです。

間違って食べると、食後30分から1時間ほどで、嘔吐、腹痛、下痢など胃腸系の中毒症状を起こし、ひどい場合は痙攣、脱水、ショックが起こり、死亡例もあります。

類似キノコとの区別方法は、傘を割ると付け根に黒いシミがあることです。これがあれば食べないでください」(吹春さん)

クサウラベニタケとは

クサウラベニタケはどんなキノコですか?

「イッポンシメジ科のキノコで、同じ分類群で食用のウラベニホテイシメジと同じ時期(9月下旬から10月)に同じような環境(広葉樹林、雑木林)で、互いに混ざり合って発生します。

姿や格好がウラベニホテイシメジとそっくりで、同属であるためヒダの色も同じように薄いピンク色(明るい茶色)に成熟します。

間違って食べると、食後20分から1時間ほどで、嘔吐、腹痛、下痢など胃腸系の中毒症状を起こし、ひどい場合は神経系の中毒症状が出て死亡します。

見分ける方法は、傘表面の模様を見ることです。ウラベニホテイシメジの傘表面には絹状繊維模様があり、それが途切れたところに指で押したような斑が見られます。これがなければ食べないでください」(吹春さん)

もし食べてしまったら?

もし間違って毒キノコを食べてしまったら、どうすればいいですか?

「吐き出すことができればいいのですが、吐き出せても吐き出せなくても、すぐに最寄りの医院を受診してください。何を食べたかによって処置が異なるので、食べたキノコを持っていくのが一番です」(吹春さん)

キノコがおいしい季節ですが、中毒は毎年発生しています。スーパーなどで売られている以外のキノコを食べるときは、十分気をつけましょう。

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