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どんぐりを植えたら木になるって本当!? どんぐりの育て方

ウェザーニュース / 2022年10月22日 5時0分

ウェザーニュース

秋の野山や都市部の公園などにもたくさん落ちているどんぐり。さまざまな形のものを探して拾い集めたり、工作の素材に使ったりして楽しんだことがある人も少なくないと思います。

どんぐりを植えたら芽を出して新しいどんぐりの木が育つのではと考えたことはありませんか。

どんぐりを植えたら木になるのか、さらにどんぐりを育てるにはどうしたらいいかについて、千葉県立中央博物館の生態学・環境研究科長である尾崎煙雄(おざき・けむりお)さんに伺いました。

どんぐりを植えると新たな実を付ける!?

どんぐりを植えたら木に育ち、新たなどんぐりの実を付けるのでしょうか。

「育ちます。木が大きく育てばやがて新たなどんぐりができます。

ただし、どんぐりを育ててみようと思ったら、いくつか注意すべき点があります。まず、どんぐりの実を植える場所選びです。コナラやクヌギ、マテバシイといったブナ科の植物は、成長すると大きな木になります。

どんぐりを植えるのは植木鉢やプランターなどでもよいのですが、数年後には『鉢植えで楽しむ』ことができない大きさに育ってしまいます。庭に植えるのもよいと思いますが、これらの木々は20~30年も経つと『大木』といっていいほどの大きさになるので、建物のすぐ近くに植えると後で困るかもしれません。

ずっとどんぐりの木を育てようと思うなら、植える場所をよく考える必要があります。もし発芽や成長のようすを観察するだけなら、植木鉢でもよいと思います」(尾崎さん)

育てやすいどんぐりの種類は?

コナラの木。20〜30年でとても大きくなる

どんぐりを植える場所が決まったとして、育てやすい種類はどのようなものですか。

「これもどんぐりを育てるときの注意点のひとつですが、たとえばアサガオのタネをまいたら数日で発芽して双葉が出てきますが、どんぐりの中には比較的長い間なにも動きがない種類もあります。

コナラの実は秋に地面に落ちた後、秋のうちに根を出しますが葉は出ません。葉が出るのは翌年の春になってからです。クヌギも冬から早春にかけて根を出しますが、やはり葉が出るのは春あたたかくなってからです。

マテバシイやアカガシ、シラカシといった種類だと、どんぐりに動きが生じるのはもっと遅くて翌年の春以降です。その間にどんぐりには何の変化もありませんから、とくに小さな子どもなどは飽きてしまって、どんぐりを育ててみようとする気持ちが失せてしまうかもしれません。

そういう意味では、根や葉が出るまで半年以上かかるマテバシイなどよりも、秋のうちに根が出るコナラのほうが『育てやすい』といえるかもしれません。ただし、いずれにしてもどんぐりを自分で育てようと思ったら『粘り強さ』が必要です」(尾崎さん)

育てるのに適したどんぐり選びのポイントは?

どんぐりはこの季節、たくさん落ちています。育てるのに適したどんぐりを拾うときのポイントを教えてください。

「落ちているどんぐりの中には、成長しないものもたくさんあります。それは、中身が虫に食べられてしまったものです。どんぐりを好んで食べるのはハイイロチョッキリやコナラシギゾウムシなどの甲虫です。

これらの甲虫の雌(めす)は8月から9月にかけて若いどんぐりに卵を産み付けます。卵からかえった幼虫が実の中身を食べてしまうので、どんぐりは成長することはありません」(尾崎さん)

成長するどんぐりかどうかを判断する方法はありますか。

「拾ってきたどんぐりを、水に入れてみてください。浮いているどんぐりは中身が食べられるなどしているので、成長しないと考えてよいでしょう。育てるには水に沈んだどんぐりを選びましょう。

穴が開いていたりひびが入っていたりするどんぐりも、虫に食われている可能性がありますので、避けてください。選ぶ段階で、はじかなければならないものも少なくないので、育てようと思ったらどんぐりは多目に拾ってきたほうがいいでしょう」(尾崎さん)

深く埋めず、乾燥に注意してじっくり待つ

水に沈んだどんぐりはどのように植えればいいですか。

「どんぐりを植えるときは、あまり深く埋めないようにしてください。浅く穴を掘って腐葉土を被せてもいいでしょう。コナラなどはすぐに根が出るので、土の上に置いておくだけでも大丈夫なほどです。

どんぐりを食べるネズミやリスなどの動物や、カケスなどの鳥には『貯食』といって秋のうちに集めた実を土に埋めて保存しておいて、餌の少ない冬の間に食べるという習性があります。

こうして保存しておいたどんぐりを動物が食べ忘れて翌春に芽生えることもしばしばあります。これにならってみてください。

どんぐりを植えた後は乾燥させないよう注意して、土が乾いたら水をやってください。うまくいけば翌年の初夏には立派な苗木に育つでしょう」(尾崎さん)

見た目もどこか愛らしい秋の風物詩のどんぐり。拾ってきたきり放っておいたり捨てたりせず、来春以降を楽しみに「マイどんぐり」として育ててみるのはいかがでしょうか。

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