秋の夜長に注意したい“快眠の天敵”、特にスマホと…?
ウェザーニュース / 2022年11月15日 5時0分
読書、映画鑑賞、食事やお酒など秋の夜長の楽しみは様々です。ただ、もしかしたらそこに快眠を妨げる原因があるかもしれません。睡眠コンサルタントの友野なお先生に、“快眠の天敵”について教えていただきました。
朝のぐったりの原因は?
温かいふとんの中が心地よい季節が巡ってきましたが、ぐっすり眠れていますか。
「秋は、本来睡眠時間が長くなる季節です。人の睡眠時間は季節によって変化するもので、夏よりも冬が長くなるのです。朝すっきり目覚められない人は、質のよい睡眠が十分にとれていないのかもしれません」(友野先生)
快眠を妨げる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
「ストレスや過食、カフェイン、過度の運動、寝室の環境など、日常生活の中に睡眠の質を下げてしまう原因が潜んでいます。特に注意したいのは、スマートフォンとお酒です」(友野先生)
ブルーライトの影響で脳が覚醒
就寝前のスマホが習慣になっている人も多いのではないでしょうか。
「就寝前にスマホを操作することは、入眠困難や睡眠維持困難を引き起こすことがわかっています。スマホでの操作や動画視聴も、脳を覚醒させてしまいます。特に仕事関係のメールチェックは、エスプレッソ2杯を飲んだのと同じくらいの覚醒度があるという指摘もあるほどです。
さらに問題なのは、画面から発するブルーライトの影響で脳を覚醒させてしまうことです。簡単に言えば、ブルーライトを浴びると脳が“昼”だと勘違いしてしまい、眠りを誘う作用をしてくれるホルモン・メラトニンの分泌をストップするのです。
ブルーライトは、スマホだけでなくPCやテレビ画面、蛍光灯やLED照明の光にも多く含まれていますので気をつけましょう。ただ、スマホの場合は顔の近くに画面がくるため影響を受けやすいので、より一層の注意が必要です」(友野先生)
お酒が睡眠の質を落とす理由
寝酒が習慣になっている人も少なくありません。特に、不眠で悩んだときの対策として、寝酒に頼る人が多いようです。
「確かに、アルコールには不安や緊張を和らげ、眠気を催す作用があります。多くの人に寝酒の習慣があるのは、1日の緊張をほぐしてくれる効果を実感しているからこそでしょう。たしかにスムーズな入眠を促すことはできますが、問題は入眠後に睡眠の質を下げてしまうことにあります」(友野先生)
睡眠の質が下がる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
「まず、アルコールには、利尿作用があり、就寝中にトイレに行きたくなってしまうのです。アルコールが体内で分解されるためには多量の水分を必要とするため、喉も乾いてきます。そのため夜中や朝早くに目覚めてしまい、深い眠りが得られにくくなってしまうのです。
さらに、アルコールは肝臓に運ばれて分解され『アセトアルデヒド』という物質になるのですが、これには交感神経を刺激する働きがあり、眠りを浅くしてしまうのです。
また睡眠中、アルコールを分解するのにエネルギーを使うため、内臓は休むことができず、慢性疲労やむくみの原因にもなります」(友野先生)
このように、お酒を飲んだ後に気持ちよく眠れるのはあくまで一時的で、トータルでみると寝酒は睡眠の質を下げてしまうのです。さらに、寝酒が癖になると別の懸念もあると言います。
「不眠対策として寝酒が習慣になると、アルコールに耐性がついて同じ効果を得ようとアルコール摂取量が増えてしまいます。睡眠の質を悪化させるだけでなく、アルコール依存症にもつながる可能性もあるのです」(友野先生)
就寝2時間前が大事
寝る前のスマホやお酒が睡眠の質を落とすとはいえ、我慢することでストレスが溜まっては元も子もありません。上手な付き合い方はないのでしょうか。
「スマホの場合は就寝間際になればなるほど、睡眠が妨げられるという調査があります。そのため、できれば就寝の1時間前、難しい場合はせめて30分前はスマホに触らないように心がけましょう。すぐに実践できないという人は、就寝5分前、10分前、15分前というように、徐々にスマホを手放す時間を前倒しする習慣をつけるといいでしょう。
お酒も同様です。飲みたいときはベットに入る2時間くらい前にはお酒を切り上げて、あとはリラックスするようにしましょう。どうしてもやめられないのなら、ノンアルコール飲料に切り替えてもいいでしょう」(友野先生)
よい睡眠を得るためには、寝る前の2時間をどう過ごすかが大事なのですね。
「すっきり目覚めた日は、1日を気持ちよく過ごせるものです。よい睡眠は、免疫力を向上させ、美肌効果や肥満を防いで美容にもよく、日中のパフォーマンスを上げるなど、メリットが大きいので、自分の眠りを大切にしてください」(友野先生)
秋の夜長は、質のいい睡眠とセットで健やかにすごせるように心がけてみませんか。
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