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京都を撮り続けて50年! 写真家・水野克比古氏オススメの紅葉穴場スポット4選

ウェザーニュース / 2022年11月20日 5時5分

ウェザーニュース

日本国内はもとより、世界的にも「紅葉の名所」として知られる千年の都・京都。市街地にもいよいよ本格的な紅葉シーズンが近づいてきました。嵐山・嵯峨野や東山界隈など、紅葉の名所とされるスポットは例年多くの観光客でにぎわい、撮影に適したポイントを確保するのもなかなか難しいのが実情です。

しかし、京都市内には知られざる美しい紅葉を撮影できるスポットが、いくつも潜んでいるそうです。京都をテーマにした写真集を多数出版する「京都写真」の第一人者・写真家の水野克比古さんに京都の「紅葉穴場スポット」を教えて頂きました。

日々刻々と姿を変える紅葉と、シーズンの長さが京都の魅力

「京都の紅葉」とついひとくくりにしがちですが、市内ではいつ頃が見頃で、どんな魅力をもっているのでしょうか。

「京都の市街地で紅葉が楽しめるのは、おおむね11月の初旬から12月の半ばまでです。ただし、好天が続いたり雨がちだったり冷え込みがきつかったりなど、天候の状況によって紅葉の状況、見え方もさまざまに変化します。

単に鮮やかな色合いを見せるだけでなく、日々刻々と表情を変える木々の姿が、むしろ京都の紅葉の魅力です。

紅葉シーズンは終わってしまったかなと思っても、寺社の参道や庭園、池の水面などに落ちた葉も風情を感じさせる被写体です。それらを含めて紅葉シーズンといえる期間が長いことも、京都の紅葉の魅力といえるでしょう」(水野さん)

それでは水野さんおすすめの、京都の「紅葉穴場スポット」4ヵ所を紹介していきましょう。

(1)宝が池公園(左京区上高野流田町ほか)

宝が池公園

1ヵ所目は京都市営地下鉄烏丸(からすま)線の国際会館駅が最寄りの、宝が池公園です。最寄りとはいえ、今回のポイントは宝ヶ池の南西側、八丁街道の宝ヶ池隧道(トンネル)南側付近にあり、駅とは反対側のため歩くと15分ほどかかります。

「宝が池公園は比叡山を借景にした景勝地で、11月下旬から12月上旬にかけての前日昼間が暖かく夜が冷え込んだ朝、よく水面に霧が立ちます。水面にカモが泳いでいることも多いので、その動きを生かすことも考えて撮影してみてください。

とくに早朝は比叡山の斜面に当たる朝日がとても美しく、『レンブラント光線』と呼ばれる前方の半逆光をうまくとらえることができれば、よりよい作品になるでしょう。

紅葉の最盛期にはカメラマンの数も増えますが、それでも100人を超えることはまずありません。池のまわりの歩道からも水面がよく見下ろせますので、撮影ポイントにも事欠きません」(水野さん)

(2)妙顕寺(みょうけんじ=上京区妙顕寺前町)

妙顕寺

2ヵ所目は、宝が池から南西へ約1km、地下鉄烏丸線の鞍馬口駅から徒歩10分ほど、日蓮宗の大本山・妙顕寺です。

「妙顕寺では後光厳天皇(在位1352~71年)から賜った扁額(へんがく)に由来するという『四海唱導(しかいしょうどう)の庭』が、いちばんの紅葉スポットになります。

美しく掃き清められた小石の庭に並ぶ色づいた木々、奥に勅使門(ちょくしもん)や金沢藩祖・前田利家の側室だった壽福院(じゅふくいん)ゆかりの石塔を配するアングルは、絶妙な紅葉写真の『正攻法』として完璧です。

10年ほど前まではほとんど観光客が訪れることがなかった妙顕寺ですが、近年では夜間のライトアップもなされています。それでも縁側に座って庭の紅葉を眺める参拝者は、土・日曜日でも10~20人程度でしょうか」(水野さん)

(3)妙満寺(みょうまんじ=左京区岩倉幡枝町)

妙満寺

3ヵ所目は、叡山電鉄鞍馬線の木野駅から南へ徒歩5分ほど、顕本法華宗(けんぽんほっけしゅう)の総本山・妙満寺です。

「一般に京都市内でも宝が池や妙満寺がある洛北(らくほく=市街地北部)エリアが、紅葉が美しいとされています。山が近いという地形の関係で比較的気温が低く、高い建物がほとんどないことも影響しているからでしょう。

妙満寺では、広い境内の石畳に沿って続く真っ赤な紅葉と、奥にそびえる仏舎利大塔の姿が、素晴らしい奥行き感を見せてくれます。

妙満寺には歌舞伎の人気演目『娘道成寺(むすめどうじょうじ)』の由来となった、『安珍・清姫の鐘』が納められています。鐘は豊臣秀吉の軍勢が紀州(和歌山県)に攻め入った1585(天正13)年の『根来(ねごろ)攻め』の折りに掘り起こされて、妙満寺に納められたそうです」(水野さん)

(4)等持院(とうじいん=北区等持院北町)

等持院

最後の4ヵ所目は、京福電鉄北野線(通称・嵐電=らんでん)の等持院・立命館大学衣笠キャンパス前駅から北へ徒歩5分ほど、臨済宗天龍寺派の等持院です。

「夢想疎石(むそうそせき、夢想国師とも=1275~1351年)が作ったと伝えられる等持院の庭園の、心字池の水面に映る紅葉は幽遠な雰囲気を漂わせています。

夢想疎石が作った庭園では世界文化遺産の天龍寺(てんりゅうじ)や西芳寺(さいほうじ)の苔庭が知られ人気を集めていますが、等持院の庭園は“知る人ぞ知る”存在で、紅葉の時季でも参拝客は1日100人程度の『穴場スポット』でもあります。

等持院は室町幕府の初代将軍・足利尊氏が天龍寺住職の夢想疎石を招き、菩提寺(ぼだいじ)として1341(暦応4)年に開山されました。境内の霊光院には歴代足利将軍の等身大木像が納められており、それらを拝観するだけでも値打ちがあります」(水野さん)

たとえば妙顕寺がある西陣界隈や、等持院がある嵐電沿線には妙心寺(みょうしんじ)や仁和寺(にんなじ)、龍安寺(りょうあんじ)など、よく知られた紅葉のスポットが数多く存在しています。しかし、「多くの人が訪れる人気の場所でも周辺をくまなく歩いてみると、穴場的なスポットがきっと見つかるはずです」(水野さん)といいます。


秋の京都を訪れることができたら、自分なりの「穴場紅葉スポット」を探してみてはいかがでしょうか。

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