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「サンサカ」から読み方が変わった ツバキに似た花とは?

ウェザーニュース / 2022年12月4日 5時0分

ウェザーニュース

「冬の花」といえば、皆さんは何を思い起こすでしょうか。

シクラメン、スイセン、クリスマスローズ、ヒイラギ……春や夏ほどではないにせよ、冬に咲く花が幾つか浮かぶでしょうか。

今回は晩秋から冬に咲く花、特に初冬によく見られる花「サザンカ(山茶花)」について見ていきましょう。

サザンカとツバキの見分け方は?

「ツバキ」と「サザンカ」散り方で見分ける

サザンカはツバキ科の常緑樹で、日本固有の植物です。庭や公園、道路沿いなどによく植えられていて、ピンク、白、赤などの花を鮮やかに咲かせます。

このサザンカによく似た花がありますね。ご存じですか。

答えは「ツバキ(椿)」。こちらもツバキ科の常緑樹です。

では、サザンカとツバキの見分け方は?

特徴的な違いの一つは散り方です。サザンカの花は花弁がバラバラに散るのに対し、ツバキの花は花の形をとどめたまま、まるごとポトリと落ちます。

武士はツバキを嫌ったという説もありますが、それは花がポトリと落ちる様が人の首が落ちることを連想させたためといわれます。その点、サザンカは武士にとっても安心できる花だったかもしれません。

俳句や歌に登場し、親しまれるサザンカ

「山茶花」は冬の季語にもなっていて、しばしば俳句に詠まれています。

1907(明治40)年生まれの俳人、細見綾子に次の一句があります。

〜月夜にも山茶花がちる止めどなし〜

「止めどなし」と詠むことで、一片ずつ散りゆく様子がうかがえます。

月夜に舞い落ちる山茶花の花びら。静寂の中の美を感じます。

サザンカは童謡『たき火』(作詞/巽聖歌、作曲/渡辺茂)にも出てきます。

♪さざんか さざんか さいたみち
 たきびだ たきびだ おちばたき
 あたろうか あたろうよ
 しもやけおててが もうかゆい♪

サザンカが咲いている道でたき火をしている様子が目に浮かびます。

大川栄策さんが歌って大ヒットした『さざんかの宿』という歌もありますね。

元は「サンサカ」や「サンザカ」と呼ばれてた

この「サザンカ」、元は「サンサカ」や「サンザカ」と呼ばれていたようです。「サンサカ」などがなまって「サザンカ」になったといわれます。

確かに「山茶花」を素直に読むと、「サンサカ」などと読めます。

近年は「雰囲気(ふんいき)」を「ふいんき」と言う人も増えているようです。

「原因(げんいん)」を「げいいん」などと言う人もいます。

「ふいんき」や「げいいん」のほうが言いやすかったり、そう聞こえてしまったりするからかもしれません。

過去には「新し」が「あらたし」から「あたらし」に変化したことがあるし、「サザンカ」という言い方も定着しましたが、「ふいんき」や「げいいん」に変わってほしくないと思う人は多いでしょう。

初冬のやや殺風景な景色をサザンカは彩ってくれます。

今の時代、たき火はなかなかできませんが、サザンカの咲く公園などを散策してみると、少しばかりの寒さなら心地よく感じられそうです。

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)

参考資料など

『色と形で見わけ散歩を楽しむ花図鑑』(監修/小池安比古、著者/大地佳子、写真/亀田龍吉、発行/ナツメ社)、『俳句の花図鑑』(監修/復本一郎、発行/成美堂出版)、『美しい花言葉・花図鑑』(著者/二宮考嗣、発行/ナツメ社)、『365日、暮らしのこよみ』(著者/井上象英、発行/学研プラス)、『鑑賞俳句歳時記』(編著者/山本健吉、発行/文藝春秋)

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