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「生ビール」と「瓶ビール」と「缶ビール」の違いは?

ウェザーニュース / 2022年12月2日 5時0分

ウェザーニュース

師走から新年にかけては職場でも家でも飲食する機会が増え、アルコールの摂取量が増えるシーズンとなります。「とりあえずビール!」の常套句(じょうとうく)で乾杯する方々も多いことでしょう。

ところで、ビールには樽生ビール、瓶ビール、缶ビールがありますが、それぞれ味の違いはあるのでしょうか? 宮城大学食産業学群教授の金内誠先生に聞きました。

そもそも「生ビール」って何?

ビール党からは「ビールはやっぱり生に限るね」との声をよく耳にしますし、ラベルに「生」を標榜(ひょうぼう)するビールも多く出回っていますが、そもそも生ビールとは何なのでしょうか? 金内先生は次のように解説します。

「ビールは、酵母(微生物)による発酵によって作られます。熟成が終わった段階では、まだ酵母がビールの中に残っており、品質管理等のためにはこの酵母を除去しなければなりません。

方法としては"熱処理(加熱殺菌)"と"ろ過"がありますが、生ビールとは、ろ過機によって酵母を除去し、熱処理を施さない生のビールのことを言います」

金内先生によると、ビールの醸造は1970年代の中頃までは熱処理をして製品化するのが主流だったそうですが、ろ過技術が飛躍的に向上して、ろ過だけで酵母や細菌を除去することが可能になり、「生ビール」が市場を席捲するようになりました。

樽生も缶ビールや瓶ビールも中身は同じ!?

「生」と聞くと、造りたてで新鮮、味も格別というイメージがあり、お店でサーバーから注がれる「生」こそが生ビールだと思っていませんか? 実は、日本の大手ビールメーカーが造る大半は生ビールなのです。

「工場で醸造されたビールは、巨大なビールタンクから樽、瓶、缶のそれぞれの容器に分けられて、市場に流通します。ということは、ビヤホールで飲む樽生のビールも、酒屋やスーパーで買う缶ビールや瓶ビールも、詰める容器が異なるだけで中身は全く同じ。どれも"生ビール"なのです」(金内先生)

なぜ樽生をおいしく感じるのか?

品質は同じ生ビールとはいえ、「ビヤホールや居酒屋で供される樽生がいちばんうまい」と感じる人は多いはずです。

「飲食店の樽生ビールは、ガス圧や温度が絶妙に調整され、注ぎ手のテクニックにもよりますが、クリーミーな泡が生み出され、おいしく感じられるのでしょう。

缶ビールから直接飲む場合は、泡があまり立たないのでホップの苦み成分があまり感じられないことがよくあります。また、グラスに注いだビールに比べて炭酸ガスがほとんど抜けないまま飲むので、より舌のピリピリ感が強くなりビール本来の味わいが感じにくくなることもあり、物足りなく感じるのかもしれません。

瓶ビールや缶ビールも上手にグラスに注いで飲めば、ビヤホールの生ビールと変わらない味が感じられるはずです。つまり、同じ生ビールであっても、鮮度や温度、グラスの形や大きさ、泡の量、注ぎ方などによってビールの味わいは変わってきます」(金内先生)

「生」かどうかはラベルの表記をチェック

では、生ビールと熱処理ビールでは、味わいはどう違うのでしょうか?

「一般的に生ビールは、ホップの香りが豊かで切れのあるすっきりした後口、熱処理ビールはコクがあって深い味わいが特徴です。市場では生ビールが主流とはいえ、熱処理ビールを愛飲する人もいて根強い人気があります」と金内先生は話します。

缶ビールや瓶ビールの中から、生ビールを選ぶには、ラベルに「生」、または「非熱処理」の表記があるかを確認してください。熱処理ビールの場合は「熱処理」と記されています。

「生ビール」と「熱処理ビール」の違いを知って、飲み比べてみるのも楽しみ方の一つですね。

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