「カイロ」や「湯たんぽ」の低温やけどに注意 気づかぬうちに重症化も
ウェザーニュース / 2023年1月10日 5時0分
冬本番の寒さに暖房器具の使用が欠かせません。そこで注意したいのが気づかぬうちに重症化するおそれもある低温やけどです。野村皮膚科医院(横浜市神奈川区)院長の野村有子先生に詳しく教えていただきます。
心地よい温かさでも危ない低温やけど
冬に多くなるのがやけど、なかでも低温やけどに注意したいといいます。
「約40〜50℃の比較的低い温度が長時間皮膚に触れることによって生じるのが、低温やけどです。『温かくて心地よい』と感じてしまう程度なので自覚しづらいのが、怖いところです」(野村先生)
冬は、身近なところに約40〜50℃になるものがたくさんあります。
「原因として多いのは、湯たんぽ、張るタイプなどの使い捨てカイロ、電気毛布、ホットカーペット、こたつなど。湯たんぽもしくはカイロを寝床の足元に置いて、すねの下の方に生じる例が圧倒的に多いです。気づかぬうちにゆっくり進行して、皮膚の奥まで損傷してしまうことがあります。
発症のはじめは痛みや赤みなどで軽傷に見えます。しかし、1〜2週間かけて細胞の壊死(えし)が進み黒くなっていきます。
低温やけどを起こしてしまったら、早めに処置をします。赤みは流水で冷やす応急処置をして、なるべく早く皮膚科を受診します。ただ、水で冷やすことの効果はそれほどなく、軽症に見えても皮膚の多くまで損傷していることもあります。
『これくらい』と軽視しないで早めに受診することが大切です。水ぶくれができてしまった場合は、破らないよう注意しましょう」(野村先生)
低温やけどを予防する
低温やけどの原因となるのは、身近な暖房器具に多いのです。日頃から使い方に注意し、予防することが大切です。
▼湯たんぽ
カバーがしてあっても注意して、長時間体に接触させないようにする。布団を温めたら就寝前に外に出すか、体から遠い位置に置きます。
▼使い捨てカイロ
必ず、肌に直接あたらないように使用します。また、長時間1ヵ所に使ったり、圧迫しないようにして、特に就寝時は使わないようにします。使用方法や注意事項の記載を確認してから、使用してください。
▼電気毛布
就寝時は低温やけどだけでなく、皮膚の乾燥やかゆみの原因にもなりますので、高温でつけっぱなしにはしないようにしましょう。寝具を温めたらスイッチを切るか、タイマーを使います。
▼電気ストーブ
十分距離を取って使用し、長時間当たらないようにします。部屋が暖まったら、就寝時は電源を切って下さい。
▼こたつ・ホットカーペット
長時間同じところに当たり続けないようにします。高温のこたつの中に入ったまま、あるいは高温のホットカーペットの上で寝てしまわないようにします。
「低温やけどは、皮膚の薄い高齢者や乳幼児、皮膚感覚が鈍っていることもある糖尿病の人は、特に注意が必要とされていますが、老若男女問わず生じます。暖房器具は正しく使うことを心がけましょう」(野村先生)
寒い季節ですが、低温やけどへの注意を忘れず、暖房器具は適切に使いましょう。
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