週刊地震情報 年末拡大版 2022年は震度5弱以上が15回で6年ぶりの多さ
ウェザーニュース / 2022年12月29日 12時4分
2022年に国内で観測された震度1以上の地震回数は、12月27日時点で1945回に達しました。2000回を超えた去年に比べると少し減少しています。震度3以上の地震は206回を数え、震度5弱以上は去年の10回を上回る15回でした。震度5弱以上の15回は熊本地震が起きた2016年(33回)以来の多さになります。
月別の地震回数で見ると最も多かったのは3月の273回で、福島県沖でマグニチュード7.4の大きな地震が発生した月です。そのほかに200回以上の月はありませんでした。1年を通じて平均的に地震が発生していた形になります。
1月 日向灘でM6.6 25年ぶりの規模
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日本周辺で発生したM3.5以上の地震
1月22日(土)未明、日向灘を震源とするマグニチュード6.6、深さ45kmと推定される地震が発生しました。この地震で大分県大分市、佐伯市、竹田市、宮崎県延岡市、高千穂町で震度5強、高知県宿毛市、熊本県阿蘇市、大分県臼杵市などで震度5弱を観測。九州各地から中国、四国の一部にかけての広い範囲で震度3以上の揺れに見舞われています。
日向灘を震源とするマグニチュード6.5以上の地震は1996年12月3日のマグニチュード6.7、最大震度5弱の地震以来、約25年ぶりです。地震のメカニズムは西北西ー東南東方向に張力軸を持つタイプと解析されています。
日向灘ではユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込むことにより、プレート境界型の地震を含め大きな地震が度々起きています。1960年以降だけで見ても、1984年にマグニチュード7.1、1968年にマグニチュード7.5、1961年にマグニチュード7.0とマグニチュード7クラスが3回発生し、これらの地震では津波も発生しました。
今回の地震はプレート境界よりも深い所が震源とみられます。日向灘ではマグニチュード7クラスの地震がいつ起きてもおかしくない領域です。改めて対策を確認しておく必要があります。
3月 福島県沖でM7.4 前年に続いて大きな地震
2022年に発生した地震で、最も強い揺れを観測したのは、去年に続いて福島県沖の地震となりました。3月16日の深夜に福島県沖を震源とするマグニチュード7.4、深さ57kmと推定される地震が発生。福島県相馬市や南相馬市、宮城県登米市と蔵王町などで震度6強、福島県福島市、二本松市、田村市、宮城県栗原市、大崎市、名取市など広い範囲で震度6弱の強い揺れを観測しています。
消防庁のまとめでは、死者4人、負傷者は250人以上。宮城県、福島県を中心とする50,000棟以上の建物に被害が発生しました。
国内で震度6強の揺れを観測したのは、ほぼ同じ震源で1年ほど前に発生した福島県沖の地震以来です。地震のメカニズムは西北西ー東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で2011年に東日本大震災を引き起こした超巨大地震の余震活動と考えられます。
能登半島の地震は今年も継続
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能登半島の地震活動
2021年の春から活動が活発化している能登半島の地震は今年も継続しました。6月19日には一連の活動で最大のマグニチュード5.4の地震が発生し、石川県珠洲市で最大震度6弱の強い揺れを観測しています。有感地震の数は今年だけで194回を数えました。
国の地震調査委員会が7月に公表した見解によると、地震が起きている能登半島北部の地下には何らかの流体があり、これが地震に関与している可能性があるとのことです。
同じように地下水とみられる流体が関連した群発地震としては1965年に始まった長野県長野市の松代群発地震があります。この群発地震では約5年間にわたり有感地震が多発しましたが、能登半島の地震については今の所終息が見えません。引き続き強い揺れへの警戒が必要です。
今年は世界でマグニチュード8以上の地震なし
![](https://smtgvs.cdn.weathernews.jp/s/topics/img/202212/202212270235_box_img4_A.jpg?1672271143)
世界のM7.0以上の地震(USGSホームページ引用/ウェザーニュース加工)
2022年、アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード7以上の地震は11回発生しました。18回の去年に比べると大きく減少し、マグニチュード8を超える地震は起きていません。
最も規模が大きかったのはマグニチュード7.6の2つの事例で、日本時間の9月11日に発生したパプアニューギニアの地震と、9月20日にメキシコで発生した地震です。
パプアニューギニアの地震は震源の深さが約116kmと深かったものの、地震の規模が大きかったため強い揺れとなり、震央近くでは改正メルカリ震度階級でVIIIの揺れになったとみられます。強い揺れによって地滑りが発生するなどして、12人の死者が出ています。
パプアニューギニアの地震のわずか9日後にメキシコでも同規模の地震が発生。こちらの地震でも改正メルカリ震度階級でVIIIの強い揺れに見舞わています。地震の発生はメキシコの現地時間では9月19日。この日は1985年と2017年にそれぞれ地震による大きな被害が出ていたこともあり、現地では大きな注目を集めました。
この地震では震源域の一部が海底まで広がっていたため津波が発生し、最も高い所では79cmを観測しました。
地震活動は比較的落ち着いた時期と、活発な時期を繰り返すことがあります。落ち着いているタイミングに様々な備えを進め、いざという時に対応出来るようにしておきましょう。
参考資料など
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。
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