圧巻の迫力 樹齢1200年超えの"一本桜"5選
ウェザーニュース / 2023年3月20日 9時50分
1200年の時を超え、咲き続ける桜の巨樹。1本の桜が放つ圧倒的な存在感と神秘的なたたずまいに私たちは言葉を失います。
今回、厳選した“一本桜”は、国の天然記念物に指定されている国宝級ばかり。スサノオノミコトから伊達政宗まで歴史上の人々と深く関わってきた数々の逸話が残されています。“一本桜”の前に立ち、長い歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
山高神代桜(やまたかじんだいざくら・山梨県)
![](http://smtgvs.cdn.weathernews.jp/s/topics/img/202303/202303180135_box_img0_A.jpg?1648801134)
推定樹齢約2000年のエドヒガンザクラ。ヤマトタケルノミコトが東征の折に植えたという伝説が名前の由来となっています。また13世紀頃には妙法蓮華経(法華経)宗祖の日蓮が、この樹が老衰していた姿を見て回復を祈り、再生させた伝承もあり「妙法桜」とも呼ばれています。
日本三大桜の1つとして数えられ、日本で最古・最大級の巨木として、大正時代に指定天然記念物第1号にもなっています。同時期に足元で咲き誇る8万本のラッパ水仙が華を競い、近くには若田光一宇宙飛行士とともに宇宙に行った「神代桜の宇宙桜」も見られます。桜の花びらは通常5枚ですが、珍しいことに一部に6枚ある木が見つかっています。
【山高神代桜】
▼推定樹齢:約2000年
▼満開予想日:3月29日
▼所在地:山梨県北杜市武川町山高2763
根尾谷淡墨桜(ねおだにうすずみざくら・岐阜県)
![](https://smtgvs.cdn.weathernews.jp/s/topics/img/202303/202303180135_box_img1_A.jpg?1648599085)
推古天皇の祖父である継体天皇が、都に旅立つ際に植えたとされる樹齢1500余年を誇るエドヒガンザクラ。その時詠まれた「身の代と遺す桜は薄住みよ千代に其の名を栄盛へ止むる」という和歌をかみしめながら、じっと眺めてみたいものです。『おはん』の作者、宇野千代が保護運動を呼びかけたことでも有名。
つぼみは淡いピンクですが、満開になれば白、散り際には淡い墨色になることが名前の由来。山高神代桜などと並んで日本三大桜の1つに数えられています。桜の開花時期にはライトアップも行われ、近場に温泉もあります。
【根尾谷淡墨桜】
▼推定樹齢:約1500年
▼満開予想日:3月27日
▼所在地:岐阜県本巣市根尾板所上段995 淡墨公園内
伊佐沢の久保桜(いさざわのくぼざくら・山形県)
![](https://smtgvs.cdn.weathernews.jp/s/topics/img/202303/202303180135_box_img2_A.jpg?1648599085)
樹齢約1200年とされるエドヒガンザクラ。坂上田村麻呂と地元豪族の娘お玉との悲恋の伝説が残っていることから「お玉桜」とも。江戸時代には枝の広がりが4反(約4000平方メートル)にも及んでいたことから「四反桜(よんたんざくら)」とも呼ばれています。
【伊佐沢の久保桜】
▼推定樹齢:約1200年
▼満開予想日:4月16日
▼所在地:山形県長井市上伊佐沢2021
草岡の大明神桜(くさおかのだいみょうじんざくら・山形県)
![](https://smtgvs.cdn.weathernews.jp/s/topics/img/202303/202303180135_box_img3_A.jpg?1648599085)
伊佐沢の久保桜と同市で知られる推定樹齢1200年のエドヒガンザクラ。個人宅に植えられた桜としては国内最大級です。伊達政宗が鮎貝(あゆかい)の初陣で敗北を喫した際に、この桜の洞に隠れ、生き延びた後「桜子の散り来る方を頼み草岡にて又も花を咲かせん」と詠んだとか。後に家臣の横山勘解油(よこやまかげゆ)を遣わせて保護にあたらせた、とされています。
この地域一帯は「置賜(おきたま)さくら回廊」と呼ばれ、伊佐沢の久保桜、草岡の大明神桜の他にも同じ長井市に約2kmにも渡る最上川沿岸の千本桜、隣の白鷹町にはやはり樹齢1200年を超え、ねじれた幹や隆起したこぶが歴史や月日の移ろいを感じさせてくれる薬師ザクラなど、桜の名所が数多くあります。
【草岡の大明神桜】
▼樹齢:推定約1200年
▼満開予想日:4月15日
▼所在地:山形県長井市草岡694
素桜神社の神代桜(すざくらじんじゃのじんだいざくら・長野県)
![](https://smtgvs.cdn.weathernews.jp/s/topics/img/202303/202303180135_box_img4_A.jpg?1648599085)
素桜神社境内にある推定樹齢1200年のエドヒガンザクラ。その昔、素戔嗚尊(スサノオノミコト)がこの地を訪れた際に、使っていた桜の杖を水辺に挿したところから芽が出て根付いたとされることから「神代桜」と呼ばれ、素桜神社の名もスサノオノミコトの“素”に由来します。またこの伝承を知った観世宗家によって、桜花見に来た男が花の精で出会う謡曲『素桜』が作られたとされています。
【素桜神社の神代桜】
▼推定樹齢:約1200年
▼例年の見頃:4月下旬~5月上旬
▼所在地:長野県長野市泉平513 素桜神社
1000年以上も生きてきた“一本桜”の生命力に接すれば、新たな春の息吹を感じとることができそうですね。
※「満開予想日」は2023年3月19日現在の情報です
参考資料など
文化庁「文化遺産オンライン」(http://bunka.nii.ac.jp/index.php)、北杜市観光協会「ほくとナビ」(https://www.hokuto-kanko.jp/)、本巣市HP(http://www.city.motosu.lg.jp/)、やまがたアルカディア観光局「「やまがた長井への旅へ」(http://kankou-nagai.jp/sakura/)、ながの観光コンベンションビューロー「ながの観光net」(https://www.nagano-cvb.or.jp/modules/flower/kind/1)
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