「ラムネ」と「サイダー」の違いは!? 「ラムネ」にまつわる意外な話
ウェザーニュース / 2023年8月20日 5時10分
夏を代表する飲み物の一つに「ラムネ」がありますね。
ガラス玉(一般的には「ビー玉」と呼ばれています)で栓のされた、清涼飲料水のラムネ。最近はあまり見かけなくなったため、少し懐かしい感じがします。しかし一方では、飲んだことも、見たことすらもないという、若い人や子供たちもいるかもしれませんね。
ラムネって、少し不思議な飲み物です。ガラス玉で栓をされているところから、ちょっとおかしい。
ラムネとは、どんな飲み物なのでしょうか。ラムネのあれこれを紹介します。
「レモネード」がなまって「ラムネ」になった!?
ラムネは「レモネード」が転訛(てんか)した言葉といわれます。レモネードの「レ」が「ラ」に聞こえ、語尾が消えて、「ラムネ」といわれるようになったと考えられています。
ラムネは炭酸水に甘味料や香料などを加えた清涼飲料水。ガラス玉で瓶に栓をしているのが大きな特徴です。
ガラス玉を押し下げると、ポンッという心地よい音が響きます。この音だけでも清涼感が漂い、少し涼やかになった気がするのは、気のせいだけではないかもしれません。
炭酸飲料は18世紀後半にイギリスで発明された
そもそも炭酸水とは炭酸ガス(二酸化炭素)の水溶液で、炭酸飲料とはその炭酸ガスを含んだ発泡性の清涼飲料水です。
その炭酸飲料は18世紀後半にイギリスで発明されました。炭酸飲料はその後、世界各地に広がり、日本には幕末に伝わりました。
一説によると、1853年、浦賀に来航したアメリカ海軍のペリー一行が、交渉相手である奉行たちに炭酸入りのレモネードを振る舞ったといわれます。
ラムネとサイダーの違いはナニ?
ガラス玉を瓶の栓として使うことを考案したのはイギリスのハイラム・コッドという人物で、1843年のことです。
ガラス玉を入れた瓶に炭酸ガスと原液(炭酸飲料の元になる液体)を入れると、炭酸ガスの圧力でガラス玉が瓶の飲み口に密着して、瓶の栓の役目を果たします。
この瓶が日本に登場したのは1887(明治20年)ごろで、当初はイギリスから輸入されたものを使っていましたが、やがて国産のガラス玉入り瓶も作られるようになりました。
さらに1904(明治37)年、瓶に王冠で栓をした国産の炭酸飲料も発売されるようになりました。
これ以降、ガラス玉で瓶に栓をした炭酸飲料をラムネ、王冠で瓶に栓をした炭酸飲料をサイダーと、日本では呼ぶようになりました。栓をガラス玉でしているか、ガラス玉以外の王冠などでしているかが、ラムネとサイダーの違いになったのです。
今や、懐かしさのこみ上げるラムネ
「ラムネ」も「サイダー」も夏の季語になっています。
立秋を過ぎ、暦の上ではすでに秋ですが、実際には、暑い日が続いています。
涼を呼ぶためにも、ラムネを詠んだ句を紹介しましょう。俳人の鷹羽狩行(たかはしゅぎょう/1930年~)の作です。
〜ラムネ店(みせ)なつかしきもの立ちて飲む〜
ラムネを売っている店を見かけて、懐かしく思って、買って、その場で立ったまま飲んだのでしょう。
ある年齢以上の人であれば、この「なつかしさ」に、涼やかさとともに甘酸っぱさも感じるかもしれません。
ラムネを見かけることは一時期に比べるとかなり少なくなりましたが、それでも、今も一部のコンビニエンスストア、スーパーマーケットなどでラムネを購入することができます。もちろん、お祭りの屋台で見かけることもありますね。
残暑厳しい折には、ラムネを飲んでひと息つくのもよさそうです。
参考資料など
『まるごとわかる「モノ」のはじまり百科 1 食べ物・飲み物』(監修/山口昌男、発行所/日本図書センター)、『まるごとわかる「日本人」はじめて百科 2 食べ物・飲み物をつくった人』(監修/湯本豪一、発行所/日本図書センター)、『季語の食 夏』(著者/佐川広治、写真/不破行雄、発行所/ティビーエス・ブリタニカ)、一般社団法人 全国清涼飲料工業会「清涼飲料の歴史」(http://www.j-sda.or.jp/kids/data/pdf/rekishi1.pdf)
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