ふだん使わない部分に栄養凝縮!? 旬の野菜を無駄なく美味しく調理する方法
ウェザーニュース / 2023年10月28日 5時10分
8月の猛暑、続く9月の残暑が影響し、野菜の生育に大きな影響が出ているといいます。さらに世界的な燃料価格の高騰によるコスト増もあり、多くの野菜が値上がりしています。野菜は余すところなく活用し、栄養もしっかり摂りたいですね。
野菜ソムリエプロの吉田謹子さんは、「これを機会に、野菜の食べ方を見直してみるといいかもしれません。普段は捨てている皮や種など活用してみては」と提案します。
カボチャ、サツマイモ、ニンジン、ゴボウについて、余すところなく活用する調理法を教えていただきましょう。
野菜はもっと食べられる
毎日の食事の準備で捨ててしまう野菜クズの量は意外に多いのではないでしょうか。
「野菜の皮などは、捨ててしまうのがもったいないと思います。皮をむいたり、ワタなどを取り除くのは、主に食感をよくするためです。ニンジンやジャガイモのような土中で育つ野菜は、土に直接触れる部分でもあります。しかし、栄養が豊富なことが多く、調理次第で美味しく食べることができるのです」(吉田さん)
寒くなる季節に出回る5つの野菜について、教えていただきましょう。
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▼カボチャ
冬至に食べる習慣があるように、カボチャは長期保存が可能で栄養豊富な野菜です。
「カボチャは、昔の人にとって冬場にもビタミン類などが補給できる貴重な食材だったのでしょう。皮付近も栄養豊富ですが、ぜひ有効活用したいのがタネとワタです。
カボチャのワタには果肉の2倍以上のβカロテンが含まれています。食物繊維も豊富で、果肉の5倍くらいになります。タネは、リノール酸やビタミン類、マンガン、亜鉛などを豊富に含んでいます。
ワタは加熱してフードプロセッサーなどにかけると食べやすくなります。カボチャスープを作るときは果肉と一緒に調理すればよく、ワタだけ使うなら電子レンジで加熱してスムージーなどに入れてもよいでしょう。煮物を作るときにワタを取らずに煮れば、ワタ部分に味がよくしみて美味しく仕上がります。
タネは、天日干ししてから素揚げにすると美味しくなります。ただ食べ過ぎには注意してください」(吉田さん)
▼サツマイモ
甘くてほくほくしたサツマイモは、焼き芋やふかし芋もちろん、天ぷらや煮物、サラダなど様々な料理で楽しめます。
「食物繊維が豊富で、含まれるビタミンCはでんぷんに守られているため加熱しても損なわれにくいのが特長です。
おすすめは皮ごと食べること。皮と皮付近には、アントシアニンやクロロゲン酸などの強い抗酸化作用をもつポリフェノールが豊富です。サツマイモのポリフェノールの約80%が皮の下5mmまでに含まれているとされています。また、皮ごと食べると食物繊維も多めに摂ることができます。
皮ごと調理する場合に大切なのは、泥や砂をきちんと落とすことです。洗う前に10分ほど水につけておき、流水でこすり洗いしましょう」(吉田さん)
▼ニンジン
カレーやシチュー、煮物、サラダと食卓に欠かせない野菜がニンジンです。いまは1年中出回っていますが、旬は10月〜12月です。
「ニンジンから摂れる大切な栄養素といえば、βカロテンです。βカロテンなどの栄養素はニンジンの中心部よりも皮に近い外側部分に多く含まれており、皮ごと食べることでβカロテンが約2.5倍、ポリフェノールが約4倍になります。
ニンジンの皮はそれほど食感も変わらないので、よく洗って皮ごと調理するのがおすすめです。
なお、葉つきのニンジンは、保存している間に葉に栄養が送られてしまうため、葉を切り落として保存するようにしましょう。また、βカロテンは体の中でビタミンAとなるのですが、ビタミンAは脂溶性ビタミンなので、ニンジンは油とともに食べる料理にすると、吸収率が高まります」(吉田さん)
▼ゴボウ
独特の風味とうまみをもち、煮物などに欠かせないゴボウ。
「ゴボウの食物繊維が豊富なことはよく知られていますが、特にイヌリンという食物繊維の一種は、血糖値改善効果が期待できると注目されています。ほかにカリウムやカルシウムなども摂取できます。
一般的にゴボウの調理では皮をむくか、あく抜きをしますが、その過程で減ってしまう栄養素が、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸です。
ゴボウの皮にはクロロゲン酸が中心部の約2倍含まれています。また、あく抜きをした水が茶色くなるはクロロゲン酸です。
ゴボウはたわしなどで泥をこすり洗いして、切ったらすぐに調理しましょう。クロロゲン酸をなるべく残して美味しく調理するには、5cmほどに切ったごゴボウを電子レンジで約40秒(500W)加熱する前処理がおすすめです。その後切って炒めたり、煮物に使ったりします」(吉田さん)
旬の野菜を美味しく無駄なく食べて、元気に過ごしていきましょう。
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