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気候変動対策の2つのアプローチ「緩和」と「適応」とは

ウェザーニュース / 2023年11月30日 5時5分

ウェザーニュース

今年も熱波・干ばつ・森林火災・洪水などの災害が、地球規模で数多く報告された1年となりました。気候変動や異常気象を身近に感じることが増えているのではないでしょうか。

これまでウェザーニュースでもさまざまな切り口で取り上げてきましたが、あらためて「今、何が課題なのか、何を成すべきなのか」について、ウェザーニュースLiVE「地球天気予報」の解説を務める、ウェザーニュース予報センターの森田清輝(以下、モリタ)と一緒に考えてみませんか?

2つのキーワード「緩和」と「適応」

「気候変動は、太陽の活動や太陽周期の変調、また火山活動などに左右されます。長い歴史の中では何回も繰り返されてきましたが、こうした気候変動は地球自体の“恒常性”(ホメオスタシス:一定に保とうとする性質)によって守られ、健全な状態に保たれてきました。

しかし、現在の異常気象は、人間の生産活動や環境破壊によってもたらされたもので、すでにこの解決を地球の恒常性に委ねることはできないレベルに達しています。

そのため、地球環境と私たちの暮らしを守るために、世界共通の取り組みが始まっています。その枠組みが『緩和(かんわ)』と『適応(てきおう)』というわけです」(モリタ)

「緩和」と「適応」とは、具体的にはどのような取り組みなのでしょうか?

「風呂に入ったカエルで例えてみます。風呂釜を地球、湯船につかるカエルを人間、風呂釜の熱源を温室効果ガスと仮定します。この状態でどんどん熱源が熱くなると、カエルは茹(ゆ)だってしまいます。

風呂から上がって涼しい風にあたれば解決しますが、風呂釜が地球なので外に逃げることはできません。熱源を弱火にすればいいのですが、温室効果ガスと仮定している熱源はすぐには弱められません。

結果、風呂に水を注いで温度を下げ、熱くても耐えられるように耐熱スーツを着用して、入浴し続けることになります。それでも最終的には、熱源を弱めていく必要があります。カエルが死んでしまうからです。

この例えで熱源を徐々に弱めていくのが『緩和』、水を注ぐなどして温度を下げる“対症療法”が『適応』に当たります」(モリタ)

「緩和策」:温室効果ガスを減らす、「適応策」:温暖化による悪影響に備える

CO2をはじめとした温室効果ガスをすぐに削減することができないなら、気温上昇に耐えられるように、人間の側が「適応」していき、時間をかけて温室効果ガスの排出を抑制して温暖化の度合いを「緩和」しようというわけですね。

「そうです。簡単に言うと『温室効果ガスを減らす緩和策』、『温暖化による悪影響に備える適応策』ということになります。CO2をはじめとした温室効果ガスの発生源を徐々に『緩和』していこう、地球温暖化は急には止められないので、対応策を講じてそれに『適応』していこうというわけです」(モリタ)

具体的な取り組みを挙げてみましょう。

【緩和策の例】
▼省エネやエコカーの利用
▼風力・地熱・太陽光などの再生可能エネルギーの活用
▼使い捨てプラスチックの利用をなるべく減らす(マイバッグ、マイボトルなどを使う)
▼グリーンカーボン(森林の光合成によるCO2吸収)とブルーカーボン(海や淡水の藻類の光合成によるCO2吸収)の促進
など

「温室効果ガスの発生を抑え、削減に向けての制度づくりや技術力向上から生活レベルの取り組みまで幅広いものがあります」(モリタ)

では、「適応」にはどのような取り組みがあるのでしょうか。

【適応策の例】
▼気温の上昇に耐えられる作物の品種改良
▼水害を防ぐ堤防や護岸設備の増強
▼気温上昇に伴う熱中症対策や感染症対策
▼感染症予防のための虫刺され対策
▼水不足に備えた節水
など

「国や自治体主導の施策が中心ですが、個人でできる『適応』もあります。極端な話をすると、ウェザーニュースの特集を見て、一歩を踏み出そうとする個人の意識改革も立派な『適応』になると思います」(モリタ)

「緩和」と「適応」は車の両輪

日本は2020年に「2050年カーボン・ニュートラル宣言」「気候非常事態宣言」を採択。翌年には「地球温暖化対策の推進に関する法律」を改訂しました。これにより脱炭素社会実現への取り組みに拍車がかかり、国・自治体・個人や団体、さらには産業界が一体となって推し進めていくことが確認されました。

「一体となった取り組みの中でも『緩和』と『適応』は、最優先で取り組んでいかなくてはならない最重要課題に位置づけられています。この『緩和』と『適応』は車の両輪のように進めていかなければなりません。

ウェザーニューズではサポーターの皆さんの協力(アプリからのフィードバック等)で、年々、天気予報の精度を上げてきました。そのおかげで、明日の天気は予報できますが、どんなに精度をあげても明日の天気を変えることはできません。

反対に、未来の天気を予報することは困難ですが、未来の天気は『緩和』と『適応』などの取り組みによって変えることができます。

そこで、これからはサポーターの皆さんと一緒に、明日明後日の天気だけでなく、未来の気候を作り上げていきたいと考えています」(モリタ)

生活の中の日常的な「緩和」「適応」の実践が、未来の地球や私たちの生活を守ることにつながります。気候変動の急速な進行を食い止めるために、私たちも身の回りのできることから取り組み、一緒に地球の未来のことを考えていきませんか?


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