「10年に一度の寒気」の見出しは正当か 何度も見かけるのはなぜ?
ウェザーニュース / 2023年12月20日 11時0分
テレビやネットニュースを見ていると、先週あたりから「10年に一度の寒気」などの表現で、今夜から南下してくる寒気についての呼びかけを見かけた方が多いかと思います。
実際に、今季これまでで最も強いレベルの寒気が南下するため大雪に警戒が必要なのは間違いなく、局地的には数十年に一度クラスの記録的な積雪や吹雪になる可能性も否定は出来ません。
ただし、テレビなどでこのように表現される頻度は「10年に一度」とは限りません。センセーショナルな見出しだけに流されず、気象情報を正しく読み取れるよう解説します。
何を根拠に「10年に一度」とされているか
テレビなどで報じられている「10年に一度」という予想は、気象庁の「早期天候情報」が元になっていることが多いようです。この情報は、6日先以降の5日間降雪量(または気温)の予測について、ある基準に達したときに発表されます。
その基準は「その地域・時期としては10年に1度程度しか起きないような顕著に多い降雪量(顕著な高温/低温)となる可能性が30%以上と予想された場合」となっています。ややこしいですが、少しかみ砕いてみます。
「10年に1度程度」は、あらかじめ計算された“平年値”に用いられている過去30年間の統計をもとに、その期間の3位以内(上位10%=10年に1度程度)に相当するような予測であるということを示しています。「可能性が30%以上」は確率予報と呼ばれるもので、その基準に達する可能性がやや高まっていると読み取ることができます。
そしてポイントとなるのは「その地域・時期としては」という部分です。つまり、真冬であればよくあることでもこの時期としては珍しい、という場合にも発表される親切設計というわけです。
総合するとこの情報の本来の意味は、「(12月下旬の○○地域としては)10年に一度の降雪量(になる可能性がやや高まっている)」という限定付きの予測になりますので、限定部分を省略してしまうとそれは誤った情報伝達になっていると言わざるをえません。
なお、夏場には「50年に一度の大雨になっている」などの情報を耳にしたことがあるかと思いますが、こちらも何度も聞く理由は「その地域にとって」50年に一度の記録的なものだったからということになります。ただしこちらは通年の記録ですので、時期を限定している早期天候情報よりもいっそう珍しいものと考えて差し支えありません。
この時期としては強い寒気 地域によっては記録的な可能性も
「テレビでは何度も“10年に一度”と聞くな…」と思っていらっしゃった皆さんも、何故だかご理解は頂けたでしょうか。このように表現される頻度は10年に一度だけではないのです。
一方で、対象になっている地域では、この時期としては珍しい寒気に襲われる可能性が高まっていることに違いはありません。その気象情報が誰に対して、どういう意図で出されているのかをしっかりと理解した上で、適切な行動をとることが大切です。
また、先述のようにこの情報が出るのは数日前までですので、直前になるとテレビなどで見かける頻度も減ってきたかと思います。かわりに「(今季これまでで)最強寒波」などの表現を使っているところもあれば、表現を弱くしているところまで様々です。センセーショナルな見出しだけにとらわれず、冷静に気象情報を読み解くことも、防災・減災の助けとなります。
この記事に関連するニュース
-
気象予報士がズバリ回答! 天気予報の「的中率」って実際どうなの?
オトナンサー / 2024年6月21日 20時50分
-
明日も“寒冷渦“で大気不安定が続く 東北は記録的な大雨のおそれも
ウェザーニュース / 2024年6月2日 16時10分
-
上空の強い寒気が南下 明日は広範囲で激しい雷雨のおそれ
ウェザーニュース / 2024年6月1日 18時45分
-
梅雨の大雨&真夏の猛暑がやってくる!?温暖化の影響で"アナザーワールド"な天気に...気象研究者・立花教授に聞いてみた【MBSお天気通信】
MBSニュース / 2024年5月29日 15時54分
-
地球の水不足が深刻化...今世紀末までに世界人口の66%が影響を受ける恐れ
ニューズウィーク日本版 / 2024年5月29日 14時30分
ランキング
-
1《都知事選「ほぼ裸ポスター」問題》自らの“みだら写真”を貼った女性は迷惑防止条例違反にあたるのか 弁護士の見解は
NEWSポストセブン / 2024年6月21日 20時45分
-
2候補者と無関係のポスター、有料サイトに誘導のQRコード…東京都知事選挙で苦情殺到
読売新聞 / 2024年6月21日 23時21分
-
3「認められうれしい」 法的に親となった女性、最高裁判決を歓迎
毎日新聞 / 2024年6月21日 21時0分
-
4はさみで同級生の背中刺した高校生を殺人未遂容疑で逮捕…埼玉県警
読売新聞 / 2024年6月21日 22時36分
-
5じつは「氷河期問題」も「非正規問題」も存在しない…雇用ジャーナリストが蓮舫氏の公約が的外れと断言するワケ
プレジデントオンライン / 2024年6月22日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)