蛍(ほたる)の飛び始める時期やベストな天気
ウェザーニュース / 2024年5月14日 13時0分
西日本から蛍が飛び始め、関東などでもこれから蛍(ほたる)の淡い光を楽しめるようになります。
蛍が発光する時期や観賞の際の注意点について、山口県下関市立「豊田ホタルの里ミュージアム」学芸員の川野敬介さんに教えて頂きました。
ゲンジボタルが発光する時期は?
蛍には“初夏の風物詩”のイメージがありますが、実際にはどの地域でいつ頃に光を放って舞い飛ぶのでしょうか。
「日本にはゲンジボタルやヘイケボタル、ヒメボタルなど、約50種の蛍が生息しています。なかでもゲンジボタルは体長約15mmと大型で光が強いことから日本の蛍の代表とされ、本州・四国・九州本土のほか、対馬や五島列島(いずれも長崎県)などの離島にも生息します。
地域にもよりますが、ゲンジボタルが発光するのは、おおむね5月末から6月中旬。
蛍が発光するのは成虫の場合は、オスとメスの出会いのためですが、その必要がないはずの産卵を終えたメス、さらにはさなぎや幼虫、卵までもが光を発します。
そこから、蛍が発光する目的が、成虫に関しては雌雄の求愛のサインに関与していますが、卵や幼虫、さなぎの発光といったものは、求愛とは関係ないことがわかります。いずれにしても、まだまだ蛍が光る役割や生態には、多くの謎が残されているのです」(川野さん)
観賞にベストな気象条件は?
蛍の観賞に適した天候、気象条件はありますか。
「蛍は風が強かったり、満月の日には、あまり飛翔しません。また、気温が低すぎる日もあまり活動しません。
ですから、蛍の観賞に向いている気象条件は、『月明かりがない新月または曇りがちで月明かりが目立たず、蒸し暖く、風がない夜』といえるでしょう」(川野さん)
20時15分頃から21時30分頃にかけて特に活発に活動(発光)
蛍の観賞は何時頃が適しているのでしょうか。
「ゲンジボタルの場合、20時15分頃から21時30分頃にかけて一晩の内でもっとも活動(発光)します。22時頃からはあまり活動しなくなります。
同じゲンジボタルでも、明滅の間隔が東日本では4秒、西日本・四国では2秒、そして、特異的に五島列島では1秒と違いがあります。また、気温や個体密度が高いほど短くなることも知られています。
明滅の間隔の差は遺伝子による違いが関与していると推測されていますが、その明確な詳細については未だわかっていません」(川野さん)
観賞時の注意事項
蛍の観賞スポットは周辺も含めて暗く、転ぶ危険がありますので、足元に十分注意してゆっくりと歩いてください。蛍の生息地は川沿いですので、子どもの手をつないで岸辺からの転落を防いでください。
蛍の観賞時に限ったことではありませんが、ごみは必ず持ち帰り、喫煙、ポイ捨てはやめましょう。
また、夜なので生息地周辺の方の迷惑にならないように騒音などにも注意しましょう。さらに、車のライトや懐中電灯、カメラのフラッシュなどをホタルの生息地に向けるとホタルにもよくありませんし、そこで観賞している他の人に対しても迷惑になります。
安全と環境保全に気を配りながら、蛍の乱舞を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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