紫陽花は2000種以上も!? 日本で見られる代表的な品種は?
ウェザーニュース / 2024年6月8日 5時10分
初夏の風物詩として親しまれる紫陽花(アジサイ)の時季がやってきました。
ウェザーニュースでは、6月に入ってからアジサイの色づき具合についてアンケート調査を実施しました。
結果は、九州や沖縄が一番進んでいて、すでに4割近くの人が見頃を迎えていると回答しています。
中国、四国〜関東エリアでも、まもなく見頃の割合の多く、今週中には見頃を迎える地域が増える見込みです。
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ピンクや青、白色といったアジサイの花色の違いは品種の特性や土壌の違いによって生じるといいます。
私たちを楽しませてくれるアジサイとはどんな特徴をもった植物なのか。また、日本で見られる主な品種などについて、公益財団法人日本花の会研究員の小山徹(こやま・とおる)さんに解説して頂きました。
紫陽花は日本原産!?
そもそもアジサイとはどんな植物なのでしょうか。
「アジサイはアジサイ科アジサイ属の落葉低木で、樹高は30cmから2m。学名を『Hydrangea macrophylla(ハイドランジア マクロフィラ)』といいます。
アジサイの名は、“真の藍色の花が集まる”という意味で、『集(あず)+真(さ)+藍(あい)」が転訛(てんか)したといわれています。
国内で見られるアジサイの代表的な品種はホンアジサイで、日本にある原種のガクアジサイを改良した園芸品種です。6月から7月にかけて開花し、白、青、紫または赤色のガク(萼)が大きく発達した装飾花を付けます。
ガクアジサイは装飾花が花序(かじょ/花の配列状態)の周辺部を縁取るように並ぶことから『額咲き』、ガクアジサイから変化して花序が球形になったものは『手まり咲き』と呼ばれます」(小山さん)
色とりどりに見えるアジサイは“本当の花”ではなく、装飾花の部分なのですか。
「みなさんが鑑賞している花びらのようなものは装飾花といい、ガクが変化したものなのです。アジサイの花房の一つ一つは中心部分に密集した真花(しんか/両性花)と、周囲を取り巻く4~5枚の大きな装飾花で構成されています。
触れることが可能な状況でしたら、丸い形のアジサイでも装飾花をかき分けてみると、中に真花があるのがわかります。
装飾花はガクが昆虫を引き寄せるために発達したといわれています。そこに種は育ちません。一方で両性花のアジサイの真花には、おしべ、めしべ、花弁がそろっていて、そこで次の命がつながれるのです。注意して観察すると、小さなつぼみが開花していく様子がわかります」(小山さん)
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紫陽花の品種は2000以上も?
日本でよく見られるのは、どのアジサイですか。
「自生している日本固有の代表的な品種は、ガクアジサイとヤマアジサイです。そのほか日本原産のアジサイが海外で改良されて、逆輸入された品種も少なくありません。国内外で新しい品種がつくり出されていて、いまでは細かく分けると約2000種類にも達しています。
アジサイは梅雨どきの6月上旬~7月上旬頃がいちばんの見頃となります。この時季はほかに開花する花が少ないこともあって、庭木などとしても人気の高い花になっています。
それでは、日本で見られる主な4種のアジサイの特徴などについて、説明していきましょう」(小山さん)
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▼ホンアジサイ
「国内でみられる最もポピュラーなアジサイです。花序のほとんどが装飾花からなり、手まり咲きとなります。
18世紀後半に欧州に渡り品種改良を経て、より大輪で色のバラエティーに富んだセイヨウアジサイとして日本に逆輸入されてきました。国産の切り花の多くはホンアジサイです」(小山さん)
▼ガクアジサイ
「おもに関東地方、中部地方、伊豆諸島、小笠原諸島などに分布しています。
例年の開花時期は6月中旬から7月頃まで。生育環境は、日向を好みますが、日陰でも湿地でも育つのが特徴です。中央につぶつぶの小さな花を集合させ、その周囲を装飾花が取り囲んでいます」(小山さん)
▼ヤマアジサイ
「おもに太平洋側の福島県から四国・九州地方にかけて分布しています。例年の開花時期は5月下旬頃から6月頃まで。半分日陰になっているような湿り気のある林や沢に生育しているのが特徴で、別名サワアジサイとも呼ばれます。
ガクアジサイと外見は非常によく似ています。ガクアジサイと比べて装飾花の量も少なく、枝や葉も細いので、全体的に華奢(きゃしゃ)に見えます。
ヤマアジサイ系の園芸品種も育種はされていますが、流通量はあまり多くありません」(小山さん)
▼セイヨウアジサイ
「ハイランドジアとも呼ばれ、ガクアジサイが西洋で品種改良されたものです。色とりどりの花が特徴で、日本原産のアジサイよりも見た目が華やかです。
セイヨウアジサイを代表するのがアナベルで、真っ白な花色とボリュームのある丸い形の花がかわいらしいと、切り花やドライフラワーとして人気が高い品種です。
アナベルにはピンクの花色のものもよく見かけます。
ピンクアナベルはユキノシタ科の落葉低木です。別名をアメリカアジサイともいうアジサイの仲間で、初夏にピンク色の華やかな花が開花します。
ピンクアナベルとアナベルの育て方に違いはありません。アナベル同様、ピンクアナベルの特徴としては丈夫で育てやすく、耐寒性と耐暑性にすぐれていることが挙げられます」(小山さん)
初夏の風物詩として慣れ親しんできたアジサイも、品種によってさまざまな特徴があるのですね。見頃を迎えた色とりどりのアジサイの品種とともに観賞していきましょう。
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