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地球温暖化のウソ? ホント?(9)温暖化が進むと、日本はいったいどこまで暑くなるの?

ウェザーニュース / 2024年7月31日 5時10分

ウェザーニュース

去年(2023年)の猛暑を記憶している人は多いでしょう。

それもそのはずで、2023年の平均気温は1898年の統計開始以来、最も高かったと、気象庁は発表しています。

今年(2024年)も大変暑く、7月7日に静岡市で40.0℃を、7月29日には栃木県佐野市で日本歴代最高気温に0.1℃まで迫る、41.0℃(日本歴代3位タイ)を記録しました。

この先、日本はいったいどこまで暑くなるのでしょうか。

気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の解説を交えて見ていきます。

Q1/近年、日本のあちこちが猛烈に暑くなっています。原因は何なの?

◆A/日本だけでなく、地球規模の現象で、主な原因は人間活動です。

現時点での日本の最高気温は41.1℃です。2020年8月17日に静岡県浜松市で、2018年7月23日に埼玉県熊谷市で、それぞれ記録されました。

気象庁が発表している最高気温の歴代全国ランキングを見ると、20位以内である40.4℃以上を記録したのは20回あることがわかります。

そのうち山形市で記録された40.8℃は戦前の1933年のものですが、ほかはすべて1994年以降で、そのほとんどは2007年以降です。

つまり、40℃を超えるほどの猛烈に暑い日は、近年、頻発していることがわかります。

「最高気温の記録が近年に集中しているのは、明らかに平均気温が長期的に上昇しているためです。近年の平均気温の上昇傾向は、日本だけでなく、地球規模の現象であり、地球温暖化の現れといえます。

そして、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告書で結論されているように、地球温暖化の主な原因が人間活動であることは疑う余地がありません」(江守さん)

1933年に記録された山形市の40.8℃はどう考えればよいのでしょうか。

「極端な高温は昔から稀に起こります。これは、高気圧やフェーン現象といった高温を引き起こす気圧や風のパターンがたまたま強く働いたり、いくつも重なったりするためで、極端であればあるほど稀にしか起こらない珍しい現象といえます。

しかし、近年は地球温暖化により平均気温が底上げされているので、それほど珍しくない高温パターンでも記録的な高温の値が出てしまいます。その結果、最高気温の記録は近年に集中しているのです」(江守さん)

Q2/1日の最低気温も高くなっています。熱帯夜も増え続けるの?

◆A/今のままでは、熱帯夜も真夏日も猛暑日も増え続けます。

気象庁の「最低気温の高い方から」の歴代全国ランキングを見ても、興味深いことに気づくことでしょう。

最低気温が最も高かったのは、去年(2023年)の8月10日に新潟県糸魚川市で記録された31.4℃です。夕方から翌日の朝までの最低気温が25℃以上の夜を熱帯夜といいます。その熱帯夜の基準である25℃を6℃以上も上回っています。

1日の最低気温が30℃以上だった(30℃を下回らなかった)のは22回あって、すべて1997年以降です。しかも、そのうち18回は2013年以降と、最低気温の高温化もまさに近年、頻発しているのです。

「日最低気温(0時から24時までの1日を通して最も低かった気温)の高い値の記録も、地球温暖化で平均気温が長期的に上昇していることによる底上げの効果で、近年に高い記録が集中しています。これも主な原因は人間活動であるといえます。

地球温暖化が止まらない限り、熱帯夜も増え続けます。もちろん、最高気温が30℃以上の真夏日も35℃以上の猛暑日も増え続けます。このままでは、数十年後に、去年や今年の暑い夏を『あのころはまだ涼しかった』と振り返ることになるでしょう」(江守さん)

Q3/「2050年の天気予報」では、2050年の東京の最高気温は40.8℃だけど、もっと高くなるのでは?

◆A/地球温暖化を止めないと、最高気温などは更新され続けます。

「私も参加して2014年に制作した『2050年の天気予報』では、猛暑だった2010年のパターンに日本の平均的な温暖化傾向の予測値を加えて、『2050年の東京の最高気温は40.8℃』などのシナリオを作成しました。

今のところ、東京都心の最高気温の記録は2004年の39.5℃ですが、東京都内としては2018年に青梅市でちょうど40.8℃の記録が出ています。

『2050年の天気予報』では、2050年に『東京の連続真夏日日数は50日』というシナリオだったのですが、去年(2023年)、64日という記録が出て、この予想はあっさり超えられてしまいました」(江守さん)

いったい日本の最高気温はどこまで上がるのでしょうか。

「大雑把な見積もりですが、現状の世界の対策ペースで、2100年ごろまでに44℃くらいはあり得ると思います。もっと高くなる可能性もないわけではありません。地球温暖化を止めなければ、日最低気温の高い値の記録も、日最高気温の記録も、更新され続けるでしょう」

さらに、「世界の温室効果ガスの排出量を実質ゼロまで減らさないと地球温暖化は止まりません。日本を含めて、国際社会はそれを目指しています」と、江守さんは温暖化対策の重要性を強調します。

熱中症予防のためなどに、エアコンを使ったり水分をこまめに摂取したりすることは重要です。

しかし、それと同時に、地球温暖化を止めるために、生活のあり方を見直したり、地球温暖化について話し合ったり、社会のシステムをどうしたらよいかを考えたりすることも、とても大切です。

————————
ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、皆さんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。


監修/江守正多
東京大学 未来ビジョン研究センター 教授(@seitaemori)
参考資料
WMO/NHK「2050年の天気予報」(https://www.youtube.com/watch?v=NCqVbJwmyuo)

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