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二十四節気「処暑」 立春から210日目に警戒すべき理由とは?

ウェザーニュース / 2024年8月22日 5時10分

ウェザーニュース

2024年は8月22日(木)から二十四節気の「処暑(しょしょ)」に入ります。

「処」はさまざまな意味を持つ漢字ですが、この場合は「収まる」という意味で使われています。ですから処暑は「暑さが収まるころ、落ち着くころ」という意味になります。

暦の上ではすでに秋に入っていますが、残暑はなかなか収まっていません。この処暑こそ、涼しい日々になることを期待したいものです。

さて、処暑とはどんな時季でしょうか。幾つかのキーワードをもとに見ていきましょう。

「秋の声」が聞こえますか?

秋を感じさせる、もの寂しげな風雨や木の葉などの音を「秋の声」といいます。また音読みで「秋声(しゅうせい)」ともいいます。

「秋の音」といい換えることもできますが、「音」ではなく、「声」と表現すると、聞こえてくる音に命が吹き込まれる感じがしませんか。

明治時代半ば生まれで、鉱山学者で俳人でもあった山口青邨(やまぐちせいそん)に、次の一句があります。

〜北上の渡頭(ととう)に立てば秋の声〜

この「北上」は岩手県と宮城県を流れる北上川のことで、「渡頭」は渡し船が発着するところです。

岩手県盛岡市出身の山口青邨は北上川の渡し場に立って、どんな「秋の声」を聞いたのでしょうか。

「八月尽(はちがつじん)」で、やっと夏が終わる?

耳慣れない言葉かもしれませんが、八月が終わることを「八月尽(はちがつじん)」といいます。

古くは、季節の変わり目の月に、それぞれの季節の終わりを惜しむ気持ちを込めて使われました。

近年は、それ以外の月でも、単にその月が終わるという意味で、「~尽」という季語が使われるようになっています。

地域などによりますが、現代では「八月尽」に、実感として夏の終わりを感じる人は多いでしょう。

やれやれ、これでやっと暑さともお別れだ、とホッとする一方で、去りゆく8月に一抹の寂しさを覚える人もいるでしょう。

大いなる「野分」に備えたい

「野分」は「のわき」、または「のわけ」と読みます。「野の草を分けて吹く風」の意で、台風の古い呼び名です。「野分の風」ということもあります。

〜大いなるものが過ぎ行く野分かな〜

これは、明治時代前半生まれの俳人で小説家の高浜虚子(たかはまきょし)が詠んだ俳句です。

この「大いなるもの」である「野分」は、1934(昭和9)年9月に起きた室戸台風のことを表しています。

室戸台風での死者・行方不明者は、3000人を超えました。

大自然の猛威を前にすると、人間の存在は小さなもの。それは今も変わっていないでしょう。

「二百十日(にひゃくとおか)」に警戒すべし

「二百十日」は雑節(ざっせつ)の一つで、立春から数えて210日目のことです。

今年(2024年)の立春は2月4日でした。その日から数えて210日目なので、今年の二百十日は8月31日(土)です。二百十日は例年、9月1日前後になります。

二百十日のあたりは古くから、野分などの災害が起こりやすいとして、厄日(やくび)と考えられ、特に農家の人たちは警戒していました。

二百十日のほかに「二百二十日(にひゃくはつか)」も、同様に野分などが多く、厄日として警戒されていました。今年の二百二十日は9月10日(火)です。

二百十日や二百二十日の頃には、風の神を鎮めるために「風祭(かざまつり)」という行事が行われてきました。地方によっては、風祭を「風鎮祭(ふうちんさい)」や「とうせんぼう」などと呼ぶこともあります。

富山市八尾町(やつおまち)の「おわら風の盆」の踊りなど、今も風祭の伝統を受け継いでいる地域や神社もあります。


立秋が過ぎ、処暑に入り、まもなく酷暑からは解放されそうです。とはいえ、残暑がまだ続く地域もあるでしょう。

気温の変化や野分(台風)による風雨に十分に気をつけて、健康に、そして安全に、日々を過ごしましょう。

写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)


参考資料
監修/山下景子:作家。『二十四節気と七十二候の季節手帖』(成美堂出版)や『日本美人の七十二候』(PHP研究所)など、和暦などから日本語や言葉の美しさをテーマとした著書が多数ある。

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