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【台風10号振り返り】超ノロノロ台風 離れた所にも大雨もたらす

ウェザーニュース / 2024年9月3日 15時52分

ウェザーニュース

列島各地に大雨や交通機関への影響をもたらした台風10号(サンサン)は、夏台風の特徴の一つである「超ノロノロ台風」でした。非常にゆっくりとした速度で進みながら日本付近に強い暖湿気を送り込んだため、台風から離れた地域でも大雨の被害が発生しました。

今回の台風による影響や被害の状況をウェザーニュースアプリに寄せられた投稿をもとに振り返っていきます。

台風10号の軌跡
1週間続いた大雨の影響

2024年8月22日(木)3時にマリアナ諸島近海で発生した台風10号は発達しながら北上。その後、進路を西北西に変え強い勢力を維持しながら九州方面に接近し、27日(火)には急速に発達し非常に強い勢力となり、奄美の北東海上を通過しました。

28日(水)は勢力を保ったまま屋久島の西を通過し、29日(木)8時頃に鹿児島県薩摩川内市付近に上陸。その後、ゆっくりと九州を縦断しながら瀬戸内海に抜け、四国を通過し太平洋へと進んだあと9月1日(日)12時に熱帯低気圧へと変わりました。

台風上陸前の27日(火)頃から熱帯低気圧に変わった後の9月2日(月)頃にかけて約1週間、日本付近は台風による大雨の影響を受けていました。
※ページ内で動画が再生が出来ない場合は、ウェザーニュースのアプリやWebサイトの「お天気ニュースCh.」からご覧ください。

進路が当初より西へと日々変化

台風10号の進路は当初の予想より西へと変化し、日本に接近するタイミングが遅くなりました。これは台風の近くにあった寒冷渦の周囲を吹く東寄りの風に加え、台風と寒冷渦の2つの風の渦が相互に影響して反時計回りに回転することで、進路が西寄りに変化していったと考えられます。

動き遅さは“上空の風の弱さ”が要因

30日(金)9時の上空の風

日本付近に近づいた後も長く滞在したのは、台風を移動させる上空の風「指向流」が弱いことが理由の一つとして挙げられます。日本付近に近づいた台風は強い偏西風に乗って西から東へ通過することが多いですが、今回は偏西風が北海道付近に離れていたために影響を受けることができず、ゆっくりとした速さで進んだことで長時間日本付近に影響をもたらしたと言えます。

鹿児島県に特別警報 西日本で停電発生

台風が九州に上陸する直前の8月28日(水)午後には、数十年に一度しかないような大規模な災害の発生が予想されるとして、鹿児島県に暴風・波浪・高潮特別警報が発表されました。

8月29日(木)0時53分に鹿児島県枕崎で最大瞬風速51.5m/sを観測するなど、台風の中心付近では暴風が吹き荒れました。暴風などの影響で九州電力によると九州全体で最大約26.3万戸が停電。ウェザーニュースアプリを通じた調査でも、九州に限らず西日本の広範囲で停電していたことがわかります。

宮崎市で竜巻被害

28日(水)から29日(木)にかけては、台風上陸前から鹿児島県、宮崎県では記録的短時間大雨情報が発表され、台風の壁雲やスパイラルバンドなどの雨雲について、気象庁は線状降水帯だとして顕著な大雨に関する気象情報を発表しました。大分県湯布院のアメダスでは8月30日23時20分までの72時間に642.0mmの記録的大雨を観測し、8月平年値の約2.7倍がこの期間だけで降ったことになります。

さらに、宮崎市では竜巻が発生し、ウェザーリポートにも被害の様子が複数寄せられました。ウェザーニュースアプリを通じた調査でも突風による被害があったエリアが宮崎市周辺であることがわかりました。雨雲レーダーを見ると、宮崎市付近にはスパイラルバンドと呼ばれる台風を取り巻く腕状の雲列がかかっており、竜巻やダウンバーストなどの突風を発生させた可能性が高いと考えられます。

離れたところで大雨 河川氾濫や大規模冠水

この大雨により、台風から離れた関東や東海でも土砂崩れや河川氾濫による被害が発生しました。

四国の徳島県や香川県、兵庫県も相次いで記録的短時間大雨情報が発表され、静岡県では緊急安全確保も発令されました。

8月30日(金)朝には河川が氾濫したとして、埼玉県川越市や神奈川県二宮町で緊急安全確保が発令されました。神奈川県小田原のアメダスでは9月1日(日)7時30分までの72時間に529.5mmの雨を観測し、神奈川平塚や小田原など関東南部で大規模な冠水被害が発生しています。ウェザーニューズ気候テックチームよると、小田原の雨量は300年に一度あるかないかの水準であると解析されています。

台風の勢力が落ちている31日(土)になっても静岡県や三重県、岐阜県などで相次いで緊急安全確保が発令されました。

ウェザーニュースアプリを通じた調査でも、台風から離れていた関東や東海で道路冠水、一部で床下浸水や床上浸水が発生したとの報告がありました。

このように台風から離れた地域で大雨となったのは、台風の周囲をまわる南からの風の流れに乗って湿った空気が流れ込み、次々に活発な雨雲が流れ込んだためです。台風の動きが遅く日本付近は気圧配置が変化しなかったため、同じような地域で雨が降り続き大雨被害へとつながりました。

夏休み終盤の交通機関に大打撃

8月27日(火)以降、愛知東部から神奈川県西部での大雨により、東海道新幹線は事前に運休を発表するなどし断続的に運転を見合わせました。九州の広い範囲でも高速道路が28日(水)から通行止めが拡大するなど、公共の交通機関に大きな影響が出ました。

ウェザーニュースの調査によると、この台風によって計画を変更した人は全国平均で38%に及び、 関東から西を中心に高い傾向となりました。台風が上陸した九州は過半数、中国四国から関東にかけての太平洋側の地域でも4割前後の方が予定を変更していました。夏休み終盤の旅行や帰省、仕事など多くの人々の生活に影響を及ぼしたことがわかります。

秋は台風の接近・上陸が多い時期

台風発生数の平年値を見ると、9月は平均5.0個で8月に次いで台風の発生が多い時期です。また、台風の接近数の平年値は3.3個と8月と同値、台風の上陸数の平年値は1.0個と9月が年間トップです。過去に大きな被害を出した猛台風も圧倒的に9月以降が多いことから、引き続き台風対策・大雨対策等を整えておくようにしてください。


写真:ウェザーリポート(ウェザーニュースアプリからの投稿)
   
調査概要
(1)
質問:台風期間中(8/27-9/2)、大雨被害は?
調査日:2024年9月2日12時〜3日13時
回答者数:12849人
回答:「被害なし」「床上浸水」「床下浸水」「道路冠水」 から選択
(2)
質問:台風期間中(8/27-9/2)、停電は?
調査日:2024年9月2日12時〜3日13時
回答者数:3774人
回答:「停電なし」「長時間停電した」「一時的に停電した」から選択
(3)
質問:台風期間中(8/27-9/2)、「激しい突風」被害は?
調査日:2024年9月2日12時〜3日13時
回答者数:10943人
回答:「あり」「なし」から選択
(4)
質問:移動や外出の予定を変えた?
調査日:2024年9月2日6時〜3日6時
回答者数:12354人
回答:「変えた」「変えてない」 から選択

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