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“過去一番…”等のニュースで聞く「日本の平均気温」 どう測っている?

ウェザーニュース / 2024年9月10日 6時30分

ウェザーニュース

2023年は世界各地で観測史上最も暑い年となりました。今年の夏も昨年と同等の暑さとなり、2024年も記録的な高温になることが見込まれています。

2023年の世界の平均気温は、産業革命前に比べて+1.45℃(WMO 世界気象機関)となり、パリ協定の目標である“1.5℃”が目前まで来てしまいました。日本に目を向けてみると、2023年の平均気温は+1.34℃でした。

日本の平均気温は、暑い年や寒い年を行ったり来たりしながら、徐々に上昇しており、トップ5の記録はここ数年に集まっています。

ところで、こういった話題のときに出てくる「日本の平均気温」はどこでどう測っているのかご存知でしょうか?

複数地点の観測値をもとに計算

日本の平均気温は、コンピュータで分布シミュレーションした値などではなく、実際に観測された複数地点の気温を元に計算されています。

ここで問題です。複数の地点とはどのような地点が計算に用いられているでしょうか。

A:富士山・南鳥島・南極を除く全914地点の平均
B:都道府県の県庁所在地にある47地点の平均
C:気象台・測候所の58地点の平均
D:都市化の影響が比較的小さい15地点の平均

正解はDで、網走 根室 寿都 山形 石巻 伏木 飯田 銚子 境 浜田 彦根 宮崎 多度津 名瀬 石垣島の15地点の平均が「日本の平均」となっています。この15地点は、①観測データの均質性が長期間確保でき、②かつ都市化等による環境の変化が比較的小さい地点から、地域的に偏りなく分布するように選出されています。

長期間の変化を分析する上で、①の観測データの均質性が長期間確保できるという条件が必須なのは理解しやすいでしょう。

ではなぜ、昔から立派な観測露場が整備されていた気象台ではなく、少し田舎に近いような地点が選ばれているのでしょうか。その理由が②の都市化等による環境の変化が比較的小さいという条件によるものです。地球温暖化による気温上昇を知るためには、都市化による気温上昇の影響をわけて考える必要があるからです。

都市部の気温上昇は地球温暖化の影響だけではない

都市部では、地面がコンクリートで覆われることによる熱の吸収・放出の違い、雨の浸透・流出の差、ビル群による風の通り方の違い、車や建物からの排熱、緑地の有無による水蒸気の蒸発・発散の違い、日陰の多少…などが気温に影響を与えます。ヒートアイランド現象とも呼ばれ、都市化の影響は無視できません。

世界的なテーマとなっている気候変動・地球温暖化は、温室効果によって地球全体の気温が上がる現象のことを指していて、状況を正しく分析をするためには都市化の影響を極力取りのぞいて考える必要があるのです。

「日本の平均気温」として公表されている気温は、都市化の影響が軽減されているといえます。ということは、多くの人が暮らす都市部ではもっと気温が上がっているのでしょうか。

1901年から1930年の30年間の平均気温を0として、そこからの差を「日本の平均気温」と5大都市(札幌・東京・名古屋・大阪・福岡)で比較すると、5大都市の方が「日本の平均気温」に比べて気温上昇が顕著になっているのがわかります。都市部では、地球温暖化の影響と都市化の影響をダブルパンチで受けているといえます。

都市での生活は屋内にいれば快適ですが、外に出ると体温を超える危険な暑さになることもあります。地球温暖化を防いで、住みやすい地球にしていきたいですね。

ウェザーニュースでは、気象情報会社の立場から地球温暖化対策に取り組むとともに、さまざまな情報をわかりやすく解説し、みなさんと一緒に地球の未来を考えていきます。まずは気候変動について知るところから、一緒に取り組んでいきましょう。

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