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インフルエンザ予防接種 今期も強く推奨と学会提言 鼻スプレータイプも登場

ウェザーニュース / 2024年10月25日 5時20分

ウェザーニュース

インフルエンザは例年12月から3月にかけての冬場に流行期を迎えます。昨シーズン(2023/24)は新型コロナウイルス予防対策効果が薄れた傾向もあり、累積推計受診者が2018/19シーズン以降で最多を記録しました。

一方で昨年のインフルエンザワクチン使用量(接種者数)は2010/11シーズン以降で最少となっており、日本感染症学会は今年9月に「2024/25シーズンも積極的な接種を強く推奨します」との提言を発表しています。

インフルエンザの流行にもかかわらず予防接種を受ける人が減少した理由、接種の必要性とそのポイント、さらに今シーズンの流行状況について、日本大学医学部附属板橋病院救命救急センター科長の山口順子先生に伺いました。

昨年は流行拡大の一方でワクチン接種率は減少

日本感染症学会によると、2023/24シーズン累積のインフルエンザ推計受診者数は約1801.9万人でしたが、ワクチン使用量は3135万本の供給量に対して2432万本と、低い水準にとどまりました。

ウェザーニュースが、今シーズンのインフルエンザワクチン接種予定について、アンケート調査を実施したところ、「接種予定なし」が半数近くの48%だったのに対し、「接種済み・接種予定」は全体の36%にとどまりました。

接種をしない方の中には「医療機関に行く時間がない」「インフルエンザに感染したことがない」「感染しても重症化しなかった」といった理由があるようです。

また、ご自身やお子様の副反応が心配という方や、インフルエンザワクチン接種をおこなっても、感染したという事例があるなど、その効果に疑問を感じている方もいらっしゃるようです。

「インフルエンザの副反応としては、接種した場所(局所)の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)等が挙げられます。接種を受けられた方の10~20%に起こりますが、通常2~3日で消失します。

全身性の反応としては、発熱、頭痛、寒気(悪寒)、だるさ(倦怠感)などがみられます。接種を受けられた方の5~10%に起こり、こちらも通常2~3日で消失します。また、まれではありますが、ショック、アナフィラキシー様症状(発疹、じんましん、赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)、呼吸困難等)がみられることもあります。

このため、これまでにワクチンにより、アレルギー症状が生じた方や、ワクチンの成分に含まれる鶏卵、鶏肉由来のものに対するアレルギーを呈する方、何らかの基礎疾患を有する方では、接種に注意を要するとされています。

しかし、『発病の予防、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果がある』とされています。ワクチンの最大の効果は重症化を予防することなのです。

日本感染症学会は提言で、ワクチンの効果を日本の小児で約50~60%などとして、今シーズンも特に小児や高齢者、施設の入居者や介護者、医療従事者にはワクチンを接種してほしいと述べています」(山口先生)

すでに感染が広がる地域も

今シーズンのインフルエンザの流行状況はどのようになっているのでしょうか。

「厚労省の今年第41週(10月7日~10月13日)の発生状況のまとめでは、全国の患者総数は第40週(9月30~10月6日)より559人増えた4391人で、昨年同期の5万4709人を大きく下回っています。

ただし沖縄県は1071人と最も多く、1つの医療機関あたりでみると19.13人と、昨年同期全国総数11.07人を上回る水準になっています。県は昨シーズン同様、8月に『インフルエンザ注意報』を発令、継続中です。

この1週間で学級閉鎖は全国で105件報告されており、子ども世代の流行が進みつつあるようです。高齢者も含めて入院者数も増える一方ですので、昨年より患者数が少ないとはいえ、今後も注意が必要です」(山口先生)

ワクチン接種で注意すべきポイント

インフルエンザワクチン接種で注意すべきポイントは。

「まず回数ですが、13歳以上は1シーズンに1回、13歳未満は2回を原則としています。うち生後6ヵ月以上3歳未満は1回0.25mlを2回、3歳以上13歳未満は1回0.5mlを2回、13歳以上は0.5mlを1回です。

13歳未満が2回接種とされているのは、インフルエンザウイルスに反応できる抗体の量を示す『抗体価』が上昇するからです。

現在のワクチンの有効持続期間は5ヵ月程度で、ワクチンはそのシーズンに流行することが予測されると判断されたウイルスを用いて製造されています。昨年接種を受けていても、今年も接種を検討したほうがいいでしょう。

インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンとの同時接種は、特に医師が認めた場合に可能とされています。接種間隔に制限はありません。

ただし、先に述べたようにワクチンを接種していても感染のリスクがあることは、十分承知しておいてください」(山口先生)

今シーズンから鼻スプレータイプの新ワクチンも

今シーズンからスプレータイプのワクチン接種が始められたと聞きました。

「経鼻弱毒生インフルエンザワクチンで、商品名では『フルミスト』(第一三共)という鼻腔(びくう=鼻の穴)にスプレーを噴霧するタイプの製品で、9月26日に販売を開始しました。

2歳以上19歳未満が対象で接種回数は1回、それぞれの鼻腔に0.1mlずつ吹き付けるものです。今のところ通常のワクチンよりも高額ですが、注射が苦手な子どもでも負担が少ないというメリットがあります」(山口先生)

山口先生はインフルエンザワクチン接種の時期について、「予防効果が生じるのは接種の2週間後から5ヵ月程度とされています。接種は流行期が始まる12月までに、できるだけ早くしたほうがいいでしょう」としています。

そのうえで新型コロナウイルスの流行時と同様、人ごみなどでのマスク着用と手指消毒を行うなど、それぞれが感染予防を心がけるようにしましょう。



参考資料
感染症学会「2024/25 シーズンに向けたインフルエンザワクチン 接種に関する考え方とトピックス」、厚生労働省「インフルエンザワクチン(季節性)」、同「2024/25シーズンの季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの供給等について」、同「インフルエンザの発生状況について」

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